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 ・・・ 調査費用のしくみ

せっかくいただいた案件が、予算で折り合わない。しばしばあることです。
発注担当者の問題意識が旺盛。素晴らしい。自社製品の問題点を詳細に調べたい。ライバル商品についても、この機会に詳しく調べたい。ついでに製品市場そのものについてユーザーがどのように考えているのかも把握し、次期新製品開発につなげたい。でも自分に使える予算は30万円。
無理です。
某ネット調査会社の料金体系をみると、30万円で調査できるのは、「サンプル数×設問数」で「300サンプル、25問」「500サンプル、15問」「900サンプル、5問」。若干値引きなどしていただいて、これができる範囲。ただしこれはいわゆる「システム利用費」のみの料金。調査票設計、細かい集計はすべて自分でやるという前提です。

ここがまず第一の誤解が生まれるポイント。ネット調査会社の料金表をみると、細かい利用料金は当然いろいろと書いてあります。法律的な問題になりますからね。
ただ、調査経験のある私でも、「あれ、それも費用が別にかかるの?」ということがある。例えば、これは結構モメたことがあったのですが、「ローデータを作成する費用」が取られることがあります。
私は、自分で集計ができますので、クロス集計データは不要。入力されたままの、昔でいうパンチデータ、最近ではローデータのままでよい。そのローデータは、Webとパソコンの仕組みさえわかっていれば、どうやって作られるのかはわかる。ダウンロードボタンを押すだけです。それを作成するのに5万円取る会社がありました。「これおかしくない?」と文句を言いました。最終的には、総額で「調整」してもらいましたが、こういうことがあります。

「そんなところで儲けようとしなくてもいいでしょう?」と言いたいところですが、現在のネット調査会社は、そういう料金体系のところが多い。大量の調査モニターを利用してアンケート調査をする部分は、見た目には低料金になっていますが、それだけでやりきれる会社は少ない。ただ、人力を経ないといけない部分の費用を見込まないと、経営的に圧迫されます。実際に人が動いているのに、その人的費用は十把一絡げの中にあるのでは、作業費が見えにくくなりますから。

調査費用は、おおむね次のように分けられます。

●「企画費」=企画書作成、調査票作成、その他実務進行上かかる人的費用など
●「実査費」=モニター使用料、モニター謝礼、システム構築費など
●「集計費」=ローデータ作成、クロス集計など
●「分析費」=レポート作成など

今のネット調査会社の料金は、「実査費のすべて」と「集計費の一部」までで体系化されている。ここを理解していただかないと、クライアントとモメる要因になります。

インターネットを用いて調査をすることが可能になり、劇的に変わったのは、「スケジュール」と「費用」。スケジュールは後述しますが、費用はどうして下がったのかを考えると、調査のブラックボックスが見えてきます。
調査費用で最もかかるのは、調査対象者をどうやって探してくるかという点。そしてその対象者に支払う協力謝礼。この2つです。今までは、調査員が1件1件家庭を訪問したり、街頭でキャッチすることで、それを補ってきました。ところが、いずれにしろ莫大な費用がかかっていた。
ところが、インターネットユーザーをモニター化することで、まず探索する手間が省けた。ネットであれば、メールとWebを組み合わせて、クライアントに指定された条件の対象者を抽出することも容易です。謝礼費は、調査分量により、ポイント制にするなどして、かつての「一律1000円分の図書券」とか、「郵送による謝礼品発送」という費用もかからなくなりました。

とてもありがたいネット調査ですが、費用がクリアになった反面、売上の限界は見えてきます。つまり、「企画費」「分析費」といった、従業員のノウハウを切り売りする部分を増やしていかないと、受注単価はあがってこない。
ところが、若い従業員が多い会社ですと、実務経験はおろか、業界知識なども甘い従業員が当然多いということになる。未熟なノウハウしか持っていない人間しかいないのに、ノウハウで稼がねばならない。大いなる矛盾がここにあります。

受託する側の感覚として、「実査費」「集計費」で稼ぐ認識はない。作業を進行する上で、若干の費用を上乗せすることはあっても、それは手数料的な感覚にすぎません。「企画費」「分析費」をどれだけいただけるかが、その人のマーケティングリサーチャーとしてのスキルといえます。
そして、これがまた難しい。
どの業界もそうですが、「人件費」をちゃんと考えてくれるご担当者に出会えるかどうか。これですね、すべては。

受託する側の感覚としては、1ヶ月で終了する調査であれば、費用総額からみて、30%くらいの利益が出ればありがたい、モチベーションも上がるというところでしょうか。3ヶ月くらいかかるのであれば、50%は欲しい。
もちろん、これは発注者側との力関係の方が大きく作用するところであります。

「見積書」とは、会社としての、調査マンとしてのプライドの現れ。それを叩くだけしかノウがない人とは、あまりつき合いたくないものです。

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