・・・ 調査に必要なスキル(発注側)
マーケティング調査に必要なスキルとは、何でしょうか。正確さ。精密さ。緻密さ。そんな言葉が浮かび上がってきそうですが、必要なスキルは発注する側、受託する側、それぞれ違います。
発注する側は、マーケティング調査のすべてを理解することなどできません。調査はあくまでも客観的なデータを得ることが目的ですから、その背景にある「主観で進めたい作業」が、発注する側の本業です。
つまり、調査はあくまでも片手間。これは受託する側が、しばしば忘れがちな点です。ただ、調査はそれなりに費用がかかるもの。受託する側も、生活がかかってますから、ついついアツくなります。アツくならないと、良質の仕事はできないものですが、アツくなりすぎると、クライアントの本業が何であるのかが見えなくなってしまう。そこまで細かくやる必要はないのに、やたらと細部にこだわりすぎる。そのため、本来得たい結果が、データのヤマに埋もれてしまう。注意すべきことです。
マーケティング調査を発注する担当者は、本業は「企画」「開発」「宣伝」という方が多い。つまり、経営の方向性を考えたり、新製品を考えたり、プロモーションを模索したりというのが本業。調査は副次的なものです。調査を担当するために、その会社に入った方など、おそらく1人もいないでしょう。
だから、調査のことを、ゼロから勉強する時間はない。ただ、発注担当者としていいかげんなこともできませんから、まさしく「勘どころ」は掴んでおきたい。その点からすれば、この文章は、着任したばかりの発注担当者に、最もお読みいただきたいともいえます。
マーケティング調査の発注担当者に必要なスキルは、調査票設計力や分析力よりも、まずは「費用感」「スケジュール感」でしょう。
「費用感」については、防衛庁の不祥事を持ち出すまでもなく、自分の依頼することに、どのくらいお金がかかるのかわからないということは、とても罪深いこと。組織に甚大な被害を与えます。どのくらいの調査をやれば、だいたいどのくらいかかるのか。発注者としていいかげんでは許されません。
とはいえ、円単位の細かい費用感は必要ではなく、おおむね50万円単位の感覚が必要なだけです。50万円の調査、100万円の調査、300万円の調査は、それぞれ意味が全然違ってきます。
受託する調査会社が、見積もりを提出してからの減額交渉で、譲歩できる範囲には限界がある(よほどの事情がない限り)。「1000サンプルで50問のネット調査を30万円で」といわれても、どうにもならないものはどうにもならない。他の部分で利益を出せるのなら、赤字受託もありえましょうが、この手合いは、後々新たな不幸を呼ぶものです。
「スケジュール感」は、費用感と裏腹の関係といえましょうか。マーケティング調査は、人手を介さねばならないところは絶対にあります。さまざまなチェック作業が不要であるのなら、スケジュールを劇的に短縮することは可能。ただ、人間がやるものにミスはつきもの。性悪説に則って業務を遂行するなら、人の目によるチェックは欠かせません。
本来なら3日は欲しい作業を、「明日までに何とかならない?」と頼まれ、無理して納品する。ところがそれによって、ミスを出してしまい、結果的に発注側・受託側、ともに不幸な結果となる。ありがちなことです。
調査票の設計にはどのくらい、集計にはどのくらい、レポート制作にはどのくらい。もちろん、それぞれの調査会社で得手不得手があるでしょうから、可能なスケジュールは異なってきます。つまり、発注担当者として知っておくべきスケジュール感とは、調査の作業段階における一般的なスピードともいえます。
では実際どのくらいが平均で、最速はどこまで可能なのか。これは後ほど、それぞれの作業段階で書きましょう。
