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 ・・・ はじめに

マーケティング調査を行うにあたって必要な「勘どころ」。
それを書いていこうと思います。

さまざまな調査手法の特徴や、多変量解析などの分析手法と説いた本は多い。
でも、実際の打ち合わせ場面で、そういうことが話題になることは、意外と少ない。

「何サンプルくらいとればいいんですか?」
「いくらくらいかければいいんですかね?」
「集計データはどのくらいでいただけますか?」

クライアント様から質問を受けるのは、こういったことです。

1000億円といわれる市場規模。かつての紙ベースの調査から、インターネットにかなり置き換わりました。しかし、それでも紙ベースの調査は残っています。そして何より、最終的な納品物である報告書(レポート)を、人間の手を全く経ずして、アウトプットすることは不可能です。
キカイにすべておまかせして、人間はそれを管理するだけでよい。多くのメーカーでは、オートメーション化は当たり前に進んでおりますが、ことマーケティング調査は、紙が、WEB(=HTML)に置き換わった程度で、その本質はほとんど変わっていません。

相当に多くの企業で行われているのに、その実態はなかなか掴みにくいマーケティング調査。その理由はひとえに、「経験」と「勘」が必要だからです。
どのような分野でも、一流になるためには、長年に渡る経験と、それによって培われた勘は必須の要件でありますが、こと、マーケティング調査においては、「マーケティング」という言葉の持つ先端的なイメージによって、その重要性がかき消されてしまうことがあります。

マーケティング調査を実務として眺めてみると、その1つの側面として、とても地道な作業があります。これを避けて通ることはできません。
ネット調査の登場によって、データ入力作業は事実上なくなりましたが、その分、簡単に大量のサンプルを確保できるようになったため、膨大なデータと格闘し、仮説を検証する作業が必要になります。どれほど完璧な仮説を立てようとも、それが100%的中しているのなら、調査などやる必要はありません。仮説が否定されることは、当然にあります。その時、どのような方法で解を見つけ出すか……。
データの迷宮に翻弄された経験のない調査マンは、1人としていないでしょう。

1人前の調査マンを育成するには、最低でも3年はかかります。3年では企業の人事異動のサイクルに合いません。成長する前に、他部署への異動となってしまいます。だから、調査スキルを持った人間は、企業に存しにくい。
そのため、ある企業がマーケティング調査を実施する場合、外部の市場調査会社に頼るしかありません。市場調査会社の存在意義は、ここにあります。

その一方で、市場調査会社にも同じ問題があります。つまり、「成長に時間がかかる」という問題です。
市場調査会社に入って、いきなり企画営業を任せるのはリスクが大きい。調査の実務を知らずして、クライアントと打ち合わせをすることは、事実上不可能です。簡単なレベルでは、スケジュール感が掴めないということがありますし、また、クライアント企業からの質問に的確に答えることもできないでしょう。
前述のように、クライアント企業は外部の会社に頼らざるを得ない状況で発注しようとしているのですから、その相手が無知では話になりません。

そして、市場調査会社で1人前になると、「スピード感が合わない」という問題が出てくることがあります。地道な作業を厭わずこなし、立派な調査マンとして成長すると、今度は、クライアント企業の求めるスピードを恐れるようになるのです。地道な作業の前提として、「拙速を嫌う」からです。
もちろん、スピードを優先するあまり、拙い仕事となることは到底許されませんが、スピード感のない仕事は、今の時代、どんな企業でも許されないということも、また事実。こうなると、さまざまなところで軋轢が生まれます。

マーケティング調査に関わる上で、クライアント企業の方には、調査の実務の裏側にあることをご理解いただきたいし、市場調査会社とすれば、もっとクライアント企業の現状を理解すべきでしょう。マーケティングという、一見すれば派手で、華やかに見える仕事ながら、地道な作業がそこかしこに見え隠れしているマーケティング調査。

マーケティング調査に関わって、まもなく20年になろうとしておりますが、その勘どころを、私の経験をもとに書き留めていこうと思います。
具体的な調査実務は、市販の書籍に書いてありますから、ここでは主に、実務の補助となる「調査の勘どころ」を綴っていこうと考えております。

一般企業なのになぜか調査担当となった方、もしくは調査会社に発注することになった方、また、市場調査会社で初歩のレベルは習得し終わって、次のステップに進みたい方向けの内容とする予定です。
ご期待ください。

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