立ち食い十割蕎麦は郊外を目指せ

増える立ち食いそば

都心で立ち食いそばといえば、「富士そば」「吉そば」「小諸そば」。

リズム感もいいので覚えやすいかと。サラリーマンの急ぎの昼飯だけでなく、酔っ払ってからの〆としても最適です。

これらに加え、東京には新興の立ち食いそばチェーンも増えつつあります。例えば「ゆで太郎」と「よもだそば」。

「ゆで太郎」は自分の行動範囲にないので、かなり昔に行ったきりですが、昨今はちょい呑み需要にも応え、地道に店舗を増やしています。
他には、東京駅近くに多い「よもだそば」。最近突然名古屋駅にも出店しました。

「よもだそば」は、そばはいわゆる「変わりそば」が話題。いやそれよりも「本格インドカレー」が人気。

富士そばをはじめ、他の立ち食いそば店にもカレーはある。でもそれはどう考えても、レトルトというか業務用というか、万人に合う当たり障りのないカレー。でも「よもだそば」のカレーは、ご覧の通りの鶏もも肉が丸ごと煮込まれている超本格派。

それぞれに個性を出そうと激しくやりあっておりますが、これらはいずれも回転率が勝負。ところが最近は、「十割蕎麦」を売り物にする立ち食い店が増えてきました。

元祖はいわもとQ

新宿・歌舞伎町に「いわもとQ」というそば店があります。

調べてみたら、2006年に以前やっていたブログで取り上げましたが、ここは十割蕎麦の自動製麺機がウリ。

福岡に本社がある不二精機の製麺機です。そば粉を入れれば、数分で打った状態で出てくる。そのまま大鍋に直行して出すだけ。混雑する時間帯でなければ、ちょっとした余裕をもって、蕎麦を楽しめるお店です。

ただ「いわもとQ」は、展開を焦らないのか、いまだに4店舗のみ(歌舞伎町、高田馬場、池袋、神保町)。需要はあると思うのですが、やはり富士そばなどのお手軽店の回転率には勝てないのでしょう。

そんな中、「あの店は新しい店だったのか!」と最近になって気づかされたのが「嵯峨谷」。

嵯峨谷という新興店

渋谷の東急本店の前、移転前のドンキの横に小さくあります。

店構えからして、30~40年はやっていそうな感じ。しかも「ひやむぎ」も看板にしている。ただ十割の「もりそば」が320円で食べられるのが魅力です(いわもとQは300円から)。

麺は基本は太打ち(細打ちも選べます)。ごっつい田舎風の蕎麦で、食べごたえもしっかりあり、好みは分かれるかもしれませんが、私は好きです。

「嵯峨谷」は「いわもとQ」とともに、2年前、日経トレンディで取り上げられています。

立ち食いそばの“新勢力”が増殖中! 「いわもとQ」「嵯峨谷」は何が違う? - 日経トレンディネット

ところが、「嵯峨谷」は公式サイトが見当たらない謎の店。まとめサイトによると、店舗は渋谷、歌舞伎町、西新宿、浜松町、池袋、神保町、水道橋にあるとのこと。

【感想】話題の激安そば屋「嵯峨谷」はうどんも美味い。本当にわかめ食べ放題だった。

つまり、歌舞伎町、池袋、神保町では「いわもとQ」と「嵯峨谷」の食べ比べができるということです。

ジョイフルが十割蕎麦店に殴り込み

「いわもとQ」にせよ「嵯峨谷」にせよ、利幅はやはり通常店に比べて薄いのか、なかなか店舗数が増えてくれない。ちょっともどかしい。
そんな中、大分県に本社があるファミレスのジョイフルが、突如として都心のど真ん中に十割蕎麦店を出店してきました。

赤坂にそば専門店「二五十」 ファミレス「ジョイフル」が新業態 - 赤坂経済新聞

「二五十」という店名は、その昔、二八そばのお代が「2×8=16」で十六文だったという説をもじっているのでしょうか。
ただ、店構えはちょっと凝りすぎていて、とても十割蕎麦店には見えない。オシャレなカフェバーみたいな感じ。溜池山王という立地に惑わされたか。

調理場には当然自動製麺機。

内装はとてもオシャレ。女性客を狙うなら、このくらいでいいのか。

お蕎麦の山葵はすりおろしてあるけれど、なぜかおろし金もついている。グルメ杵屋系の「そじ坊」をちょっと変化させた感じ。

大変美味しくいただきました。
問題は、器が重すぎること。セルフ店ですから、調理場から自分で席まで持っていく。男の自分でもちょっと危なっかしい感じがしました。多店舗展開をするなら、もっと軽い器にしないと、事故が頻発する可能性があります。

十割蕎麦チェーンは郊外展開を

ジョイフル系の「二五十」はまだ1店舗ながら、全国760店の展開があるジョイフルの資本力は、ライバルとしては脅威。ただ溜池山王のお店は、ちょっとお金をかけすぎ。このままのスタイルでの展開はありえないでしょう。

ただ、十割蕎麦を手軽に楽しめる蕎麦店の需要は確実にある。しかも、「いわもとQ」は4店、「嵯峨谷」は7店と展開はゆっくり。ではジョイフルが資本力を背景に、一気呵成に都心を攻めたてればよいのかというと、それは先行グループの展開が進まないことをみれば、自ずと限界がある。
だいたいチャチャッと食べて、サクッと出ていきたいサラリーマンにとって、時間がかかりすぎる蕎麦店はユーザーになりにくい。

だからこそ「二五十」に限らず、「いわもとQ」も「嵯峨谷」も郊外を目指すべきだと思うのです。

我が家の最寄り駅すぐ前にできた「富士そば」は、かなり繁盛しています。

もちろん場所柄からして、サラリーマンはいない。都内の富士そばのユーザーと同じなのは、近隣で工事している現場作業員の方くらい。意外なのは、ジジババ、それにオバちゃんがかなり使っていること。だからアイドルタイムも客足が絶えない。

ただこうした方々は、まず券売機のところで、目的のメニューが探せず、立ち往生することしばしば。それだけに忙しい向きにはイライラが募るのですが……。

商店街には、美味しい蕎麦を食べさせてくれるお店もあるのですが、どうしても1000円近くかかる。それに時間もかかる。

コストパフォーマンスを考えれば、富士そばにも十分需要があったということです。

手軽に蕎麦を食べたいけれど、それほど急いでいるわけでもない。こうした中高年層は郊外にたくさんいる。そこを狙って十割蕎麦チェーンは、展開すべきではないかと。
蕎麦そのものの美味しさは、打ちたての十割蕎麦なら絶対にわかってもらえます。パイの大きさばかりに目がいって、都心に展開しても、過当競争に飲み込まれるだけ。ならば、早いうちに郊外のマーケットを押さえるに限るでしょう。

イタリアンはサイゼリヤ、中華は日高屋、うどんは丸亀製麺と、郊外におけるそれぞれのリーダーはほぼ確定した。残るは「蕎麦」。「富士そば」などの既存勢力が都心を疎かにできないだけに、十割蕎麦チェーンは早めに郊外に向かうと、大いなる果実が得られるはずです。

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