マルちゃんQTTA(クッタ)の生き残る道
カップヌードルの牙城はたやすく落ちない
昨年4月に発売された東洋水産マルちゃんの「QTTA(クッタ)」。
CMタレントにダウンタウン松本人志を起用したこと、そして「醤油」と「シーフード」という本格メニューであることから、日清カップヌードルと正面きってのバトルが始まる……かと思いきや、カップヌードルはそう簡単に落ちません。
QTTAもたしかに美味しい。それは事実です。
黄色い卵、小さなエビ、そして謎肉と、あまりにもカップヌードルに寄せすぎたために、カップヌードルを超えるまでには至らなかった。これなら多くの人は、
カップヌードルでいいや
で終わってしまう。
本格的な製品を後発で投入するのであれば、既存品を明らかに上回るベネフィットが感じられないといけない。それがいかに重要なことであるか証明したのが、マルちゃん「正麺」であることはいうまでもありません。
QTTAは、「カップヌードル並みに美味しい」かもしれないけれど、決してカップヌードルは超えていなかった。だから店頭を一時的に賑わしたにとどまった。
QTTAに新メニュー登場
そんなQTTAに新しいメニューが投入されました。
「MARUCHAN QTTA(クッタ) バーベキューチキン味」「同 サワークリームオニオン味」 新発売のお知らせ | ニュースリリース | 企業情報 | 東洋水産株式会社
醤油、シーフード、豚骨という王道メニューはすでにある。順序的には、「味噌」や、昨今盛り上がる「野菜たっぷり系」かと思いきや、思い切り変化球を投げ込んできた感じ。
早速買ってまいりました。
「サワークリームオニオン味」と「バーベキューチキン味」。どちらも普通のラーメン店で食べられる味ではないところがポイントか。
どちらを食べようか迷いましたが、バーベキューチキンは過去にカップヌードルも出していそうな気がしたので(実際あったかは不明)、サワークリームでまいりました。
サワークリームオニオンのラーメンとは?
てっぺんの写真からして、ラーメンぽくありません。真っ白すぎて、ラーメンとしては色味が悪い。
「サワークリームオニオン」ということは、肉(らしきもの)が入っていないことか。そこが気になりました。プレスリリースには、スープについて、こう書いてあります。
オニオンとガーリックを利かせた、爽やかな酸味とクリーミーな味わいが広がるサワークリーム風味のスープ。ポテトをふんだんに使用し、濃厚でザラついた舌触りを出しました。
(「MARUCHAN QTTA(クッタ) バーベキューチキン味」「同 サワークリームオニオン味」 新発売のお知らせ より)
若い男性的には、「肉感」がないのは大幅な減点要因。つまりこちらは女性向けか。
お湯を入れて、待つこと3分。お湯を注いだ時に気になっていた蓋ウラに、こんなことが書いてあります。
底からしっかりと混ぜろと。
美味しいけれど……
混ぜる前に撮った画像がコチラです。まあこれはこれで悪くない。
しっかり混ぜ混ぜして、いざ食べてみました。
美味しかったです。ポテトもしっかり入っているし、リリースにあるとおり、ザラついた舌触りも悪くない。
ただいかんせん、醤油やシーフードのように比較するフレーバーが、記憶にないので、
これはこれでアリか……
というのが正直な感想。リピートをするには、もう1つパンチが足りない。たまに食べるくらいならよいかという位置づけ。もっともマルちゃんとしても、このようなフレーバーに王道的な売れ方は期待していないでしょうが。
ゲリラ戦に活路を見出すか
ところで、日清カップヌードルが、現時点でいくつのメニューを投入しているか想像できますでしょうか。
答えは18メニュー
です。
本丸のカップヌードルに加えて、以下の17メニューがサイトに並んでいます。
しお、欧風チーズカレー、チリトマトヌードル、旨辛チーズスンドゥブ味、シーフードヌードル、カレー、ミルクシーフードヌードル、トムヤムクンヌードル、シンガポール風ラクサ、リッチ贅沢とろみフカヒレスープ味、リッチ松茸薫る濃厚きのこクリーム、ライト、シーフードヌードルライト、ナイス濃厚!ポークしょうゆ、ナイス濃厚!クリーミーシーフード、ナイス濃厚!キムチ豚骨、チリチリ♪チリトマトヌードル。
(カップヌードル | 日清食品グループ)
もちろんこのすべてが店頭にあることなどない。そして、これらに加えて、次々と期間限定品も投入される。コンビニ店頭のカップ麺コーナーが、常に変化している要因です。
マルちゃんQTTAが、こんなカップヌードルと戦うには、王道メニューでは正直厳しい。本丸のカップヌードルの完成度を超えるのは、そう簡単ではありません。
ならば、「サワークリームオニオン」や「バーベキューチキン」といった周辺での戦いに持ち込むしかない。
袋麺では、「正麺」の勢いも一段落したものの、市場で一定のポジションは確保できた。
「袋麺」売れ筋トップ200商品ランキング | 世界の(ショーバイ)商売見聞録 | 東洋経済オンライン
袋麺の市場確保でできた余裕があるうちに、QTTAの限定メニューを次々と投入し、周辺メニューの売上でカップヌードルブランドに勝つ。こうしたゲリラ戦に勝利していき、いずれくるであろう王道メニューの戦いに備える。QTTAが勝つための長期戦略としては、こんなストーリーが考えられます。
とはいえカップヌードルも、当然に応戦してくる。トップブランドとの戦いは、簡単ではありません。それだけに担当者は気の休まる暇がないはずです。