鳥貴族が1000店を目指してはいけない理由

我が街にも鳥貴族が

できました。当日は、恒例のオープニングセール飲み物99円に釣られた方が多数。数十人ほどの行列ができておりました。

さすがです。

以前取り上げたように、我が街にはすでにワタミ系の鳥メロ、モンテローザ系の豊後高田どり酒場があります。あと多数の地元店も。

鳥メロはワタミを救うのか - とみざわの神視点マーケティング

群雄割拠のところ、いよいよラスボス登場といった感があり、今後半年程度で地域の焼鳥情勢が激変することは確実といえそうです。

ある鳥貴族

開店したばかりの店に行くのはストレスがたまるもの。混雑とともに、覚束ないオペレーションがイライラを加速させます。だから新店に行くのは、早くて1か月後。待てるのなら、店がこなれてくる3か月から半年後が理想です。

ということで、地元の鳥貴族にはまだ行けない。でも食べたい。ということで、出張ついでに1人で食べてきました。混雑前の時間帯なら、店にも迷惑にならないでしょうし。

家賃の安い空中店舗をあえて狙う鳥貴族。1階の店舗は珍しい。
入ってすぐのカウンター……だけど、これは実質カップル席に通されました。申し訳ない。

ここはタッチパネル式の注文。導入を進めているようですが、この方がミスオーダーもないし、いいことです。

生とキャベツと貴族焼を注文。生はカウンター越しにあっという間に出されました。

ベジファーストでキャベツをモシャモシャ。
ビールをグビグビ。
キャベツモシャモシャ、ビールグビグビ。
モシャモシャ、グビグビ……。
肝心の焼鳥が来ない……。

来ない……。
どうしてしまったのか?
忘れられた?

鳥貴族は2021年1000店舗を目指す

ところで、鳥貴族はすでに500店舗を突破。空白地帯だった静岡県にも、浜松にいきなり2店舗出店のようです。それも有楽街とモール街という、隣接した繁華街に出す。攻めますな。既存勢力の扇屋はかなり苦労するでしょう。

テレビ東京「カンブリア宮殿」で取り上げられた時、出演した大倉会長が行っていたように、鳥貴族は2021年、つまり東京五輪が終わった翌年、1000店舗を目指しています。

独自に行った商圏調査では、3商圏の出店可能店舗数は1,027店舗という結果が出ており、2021年国内1,000店舗に向け物件情報の取得や調査人員の確保など社内体制を強化し、3商圏への集中出店を加速させます。
株主・投資家の皆様へ | IR情報 | 株式会社 鳥貴族より)

鳥貴族 1000店舗視野、物流改善に着手|物流ウィークリー・物流と運送、ロジスティクスの総合専門紙

あと5年ほどの間に、出店を倍増する。
私は正直言って、この目標に反対。大倉会長の作り上げたシステムは素晴らしいだけに、1000店という数字ありきの目標にしてしまうことは、間違っていると思います。

閑話休題。お店でのできごとに話を戻しましょう。

黒い貴族焼

それでも貴族焼は来なかった。生とキャベツの繰り返しも、さすがに飽きた。「いいかげん遅いよな。店員に声をかけるかな」と思いました。
そんなことを逡巡しているうちに、注文から待つこと20分くらいかかったか、ようやく貴族焼はきました。

めっちゃ焦げとるがな!

肉もガチガチに固まってました。ジューシーさゼロ。

つまり焼鳥は焼いていたけれど、担当が焼き加減を見ていられないほど忙しかったのでしょう。で、黒焦げにしてしまった。
鳥貴族をしばしば使う子供からは、「ありがち笑」との返信がLINEでありました。

鶏肉はいいとしても、ネギの真っ黒なのはさすがに悲しい。ということで、ハズして置いておきました。

お皿と同化してます。

1000店規模はゴメンではすまされない

「トリキにはありがちだよw」
「らしいよね」

小さなチェーンなら、それでも許される。でも1000店規模のチェーンでは許されません。

1000店を超える飲食チェーンといえば、マクドナルドすき家吉野家松屋サイゼリヤCoCo壱番屋など。
マクドナルドのハンバーガーが焦げていることがあるでしょうか? 誰もがありえないと考えるはず。一時問題になったのは、異物混入や肉そのものの加工過程であって、調理方法に問題があったのではありません。
牛丼チェーンも同じこと。吉野家、すき家、松屋、全国どこに行っても、同じ味、同じ盛で提供されます。

セントラルキッチンは、調理オペレーションの効率化とともに、安定したメニュー提供のためでもある。セントラルキッチンなくして、大規模飲食チェーンは実現不可能といってよいでしょう。
だから、店舗ごとに串打ちをし、(当たり前ですが)店舗ごとに焼く鳥貴族のスタイルは、業界の常識を打ち破ろうとするものといえます。
その志は決して間違っていません。間違っていないからこそ、2021年1000店という時期と数字を目標にして欲しくないのです。

その最大の理由は、

1000店規模に見合う人材は、
なかなか集まらないうえに、
育成も難しい

から。

先日行ったお店は、ほとんどの店員が外国人でした。厨房とのやり取りがすぐ横で行われる席だったので、ありありとわかりましたが、すべて中国語で会話しておりました。

外国人だからダメなのではありません。大倉会長をはじめ、創業期を支えてきた人たちが持つ魂を、正しく受け継いでいない従業員が増えることが問題なのです。

鳥貴族と牛たんねぎし

鳥貴族と同じ頃、「カンブリア宮殿」に取り上げられた牛たん「ねぎし」は、首都圏に50店ほどしかありません。「ねぎし」ファンのどこぞやの社長が、番組冒頭に「もっと店舗増やして欲しいの。僕がお金出すから!」みたいにコメントしていました。

でも、根岸社長はそうしない。牛たんを焼くことができるのは、社内の試験を経た者に限られる。また、店舗ごとにサービスのチェックを店長が相互に行う。そうすることで、店舗を増やすに見合うだけの人材が育ってから新しい店を出す。

自前調理にこだわり、アルバイトといえども、しっかりとした人材育成をする。鳥貴族と「ねぎし」は、似た企業風土があります。だからこそ、鳥貴族も出店を焦らないで欲しい。1000店という目標を掲げることは間違っていません。でもそれを、2021年までにという期限を区切ることは間違っています。

鳥貴族のIR情報には、人材の強化について、下記のように書いてあります。

中期経営目標である3商圏500店舗、売上高250億円を達成するため、「新規出店の強化」「国産国消への挑戦」「人財基盤の強化」を重要施策として位置づけております。
(中略)「人財基盤の強化」は、慢性的な人財不足が問題となっている外食産業において、賃金・労働時間・福利厚生等の労働環境を他社に先駆けて整備し、人財の育成と確保を進めることで出店加速に対応します。
株主・投資家の皆様へ | IR情報 | 株式会社 鳥貴族より)

給与面や福利厚生を充実させれば、いい人材が集まることは事実。でも、育成は簡単ではありません。

1000店をコントロールするには、どうしてもピラミッド型の構造にせざるを得ません。ピラミッド型組織は情報伝達がネックとなる。多段階の伝達構造は、トップの意思を時に歪めてしまい、反対に、現場の声もトップに届きにくくなります。
その伝達役となるのがいわゆる「中間管理職」。中間管理職の役割は重要だからこそ、精神的に疲弊する人もいます。

東京五輪までは、おそらく日本の景気は安定するでしょう。売り手市場になると、飲食業界の採用は厳しくなります。現場は外国人アルバイトに頼らざるを得ないでしょう。そんな環境下に、1人で30店、50店を適切にコントロールできる数十人の中間管理職を育成できるのでしょうか。

まもなく1500店に達しようとするCoCo壱番屋には、ブルームシステムという独立支援制度があります。

独立支援制度(ブルームシステム)|株式会社壱番屋

この制度について、現社長はこんなことを語っています。

壱番屋のフランチャイズ展開は、実は一般的なフランチャイズ加盟から始まったのですが、企業理念の共有が難しく、創業者の想いが十分に反映されませんでした。
そこで、創業者の想いを受け継いで店舗を経営してくれる人にフランチャイズになってもらうために、「ブルームシステム」(BS)と名付けたのれん分け制度を考え出しました。
十分な経験を積み、しっかりと企業理念を理解した社員に、オーナーとして大きく花開いてほしいとの想いをもとに、壱番屋のフランチャイズ展開が始まりました。
メッセージ|独立支援制度(ブルームシステム)|株式会社壱番屋より)

ココイチは、過去の苦い経験をもとにブルームシステムを編み出しました。
鳥貴族も、2021年1000店という数字に囚われず、人材ありきの成長曲線を描かないと、ココイチと同じ轍を踏むことになります。

上場企業である以上、大きな目標を掲げ、投資家を納得させなければならないけれども、そんなことがきっかけで破綻しては意味がない。鳥貴族は焦らず、もっと穏やかに成長して欲しいのであります。そう、大倉会長の人柄のように。

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