カップヌードルパスタスタイルの課題
イタリア人は86%が認めない
まあ日清らしいといえば日清らしい商品。そしてプロモーションです。
「イタリア人も認めた(美味しさ)」ではなく、「認めてくれなかった」というガッカリ感を前面に出す戦略。期待値のハードルをある程度下げておいて、満足度を確実に得ようというコツコツ打法。普通の会社だったら、こんなやり方はウケませんが、カップヌードルというお化け商品の新アイテムならば許される。
そして、「日清スパ王」はまだ売っている事実。
「ブランドマネージャー制」を語る際に、真っ先にあがる日清食品。そのコンセプトは「何を売るのもアリ」ということで話題になりました。「カップヌードル蕎麦」だろうが、「どん兵衛ラーメン」だろうが、売れればいいというやり方。売れなければ、マネージャーはクビになるだけ。とはいえ、それほど激しくはありませんでしたが、ここ数年は、「カップヌードルごはん」と「チキンラーメンごはん」が同時に並んでいたりして、結構本気であることが伺えました。
そんな中での、「カップヌードルパスタスタイル」。いろいろ考えさせられます。
作るのはやや面倒
ということで、作ってみました。2つとも買ったので、ボンゴレの方を。
「湯切りして食べる」んですよ! 読売新聞の記者さん、指差し確認お願いします!
中を開けるとこんな風。粉末ソースと油が入っている。
それを取り除くと、「ああパスタっぽいね」とわかる。
輪切り唐辛子が結構入っている。ボンゴレにこんな入れたっけ? ボンゴレはあまり食べないので、忘れてしまった……。
では、早速お湯を入れてみましょう。
麺のかさに比して、結構入れる感じ。このあたりがパスタの湯戻しが難しいところか。麺にツルツル感、ツヤツヤ感は必須ですから。
そして待ち時間は5分。
これはマイナスポイントでしょう。縦型カップ麺なら、やはり3分でないと。これもパスタに挑戦する妥協的限界か。
湯切り口が素晴らしい
湯切り口は今さら珍しいものではありませんが、これはお湯を入れない状態だと剥がしにくい。お湯を入れ、容器が温まると、自然と剥がれやすくなる構造のようです。素晴らしい。接着剤メーカーの技術力でしょうか。
で、お湯を捨てた状態がこちらになります。
おー、完成は近い。ここに粉末ソースと油を投入。
そしてまぜまぜして完成なのであります。
これはボンゴレじゃない!
いざ実食。
食べた感想は……
ボン……ゴ…レ……?
という感じ。これはむしろ
ペペロンチーノだろ!
と思いました。それだけガーリックが効いています。画像にさんざん写り込んでいるように、輪切り唐辛子も結構入っていて、辛味もそこそこあるし。
「ペペロンチーノ」だと「にんにく」の印象が強いため、昼飯には忌避されやすい。それを避けた「ボンゴレ」表記なのではないかと。
味よりも重要なこと
味は、まあこんなもんかなというのが正直な感想。イタリア人も14%は認めたように、パスタっぽいのは事実。日本人なら半数以上が認めたとなっても、全く不思議ではありません。
それよりも重要なのは、
これは何と一緒に食べるのか
ということ。
男性をターゲットとするなら、分量はこれだけで満足できるものではない。
カップヌードルであれば、おにぎりを一緒に食べればいい。また、お弁当をメインとし、カップヌードルはスープがわりとすることもできる。若い方なら十分ありえる話でしょう。
パスタスタイルに合うメニューは、サラダくらいか……?
となると、メインターゲットは女性なのか。カロリーを気にする女性が、1食414kcalのパスタを食べるのか。それだったら、198kcalの「カップヌードルライトプラス・ラタトゥイユ」を選ぶのでは。事実、我が家の女性陣は、結構気に入っているようす。
あと気になるのは、やはり調理時間か。
5分待つのは、やはり長い。何しろ、「スパ王」は
熱湯1分サッとあえるだけ!
日清Spa王 ペペロンチーノ | 日清食品グループ
を売り文句にしている。
そして、パスタスタイルは1食あたり86gで414kcal。一方、スパ王は187gで459kcal。どうせ食べるなら、スパ王になるのではないか……。
日清のチャレンジ精神を体現したものとしては面白い「カップヌードルパスタスタイル」。商品としては、まだまだ改革の余地はありそうです。
2015/09/22