機敏なマルちゃん鍋からつけ麺へ

鍋用ラーメン市場へ

インスタントラーメンという言葉が死語になったのは、発売から40年あまり、すっかり硬直化した市場構成とも決して無縁ではないはず。
そんな市場に偉大な風穴を開けた「マルちゃん正麺」。しかも単なるヒット商品となるどころか、推定ながら、シェアトップのサッポロ一番を超えたともいわれた。

そんな正麺は、「鍋にも使えるのでは?」という仮説のもと、トライしてみたのが、昨年5月末のこと。

マルちゃん正麺は鍋の〆にできる | とみざわのマーケティング研究室(2014/05/22)
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美味しかったです。だから「味噌」でも「塩味」でも試してみた。

超絶美味しいマルちゃん正麺味噌味の鍋 | とみざわのマーケティング研究室(2014/09/12)
マルちゃん正麺塩味の鍋もやってみた | とみざわのマーケティング研究室(2014/09/15)

こんなサイトを、よもやマルちゃんの担当者が閲覧していたとは思えませんが、はたして「正麺鍋用ラーメン」は発売された。

「煮込んで食べるマルちゃん正麺 醤油ラーメン」「同 寄せ鍋風うどん」 新発売のお知らせ | ニュースリリース | 企業情報 | 東洋水産株式会社

「正麺」はことごとくトライアルしてきた。しかし、これを店頭で見た瞬間、

これはアカン!

と思いました。

絶対売れない!

と確信。その理由は、鍋の「〆ラーメン」を作る人のことが、全くわかっていないから。

マルちゃんはマルちゃんでも

鍋の〆用ラーメンは、ちびまる子ちゃんなんですよ。

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以前は「赤ラーメン」だけでしたが、太麺の「黄色ラーメン」がまた美味しい。我が家で食べる時にも大変重宝しておりますが、その理由は1人前ずつ小分けになっているから。

「鍋」ですから、家族で食卓を囲んでいる。しかし「〆ラーメン」を食べるタイミングは、実はマチマチ。
なのに、「煮込んで食べるマルちゃん正麺」は「2人前×2個」。一度に2人前を煮込むシチュエーションは、鍋料理に必然ではない。そこを東洋水産は全然わかっていなかった。正麺派として、「マーケティングを真面目にやっているのか!?」と、正直問いたい気分でした。

そしてつけ麺

やはり売れなかったのでしょう、「煮込んで食べるマルちゃん正麺」は。

そして鍋用ラーメンは、「つけ麺」として突如変化した。

「マルちゃん正麺 つけ麺 魚介醤油」「同 豚骨醤油」 新発売のお知らせ | ニュースリリース | 企業情報 | 東洋水産株式会社

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鍋用の発売が昨年10月末。そこから実質4か月ほど。この素早い転換は、社内がまだノッている証拠か?

スープの味は変わっているものの、パッケージの外観は全く同じ。包装メーカーに大量発注してしまったのでしょうか。

正麺つけ麺は美味しかった

正麺鍋用は、トライアルすることすら許されない形態でしたが、つけ麺(2人前)ならできる、1人暮らしでも……。

ということで、ようやくチャレンジしてみました。

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外観は真新しいですが、箱を開ければ、いつもの袋麺が出てくる。

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液体スープは外ですが、粉末スープは麺と一緒に中に入っている。なぜ?
どうしても理由はわかりませんでした。

大勝軒の山岸さんが亡くなった直後ということもありますし、ここは贅沢に2人前一気に茹でる。

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そしてできあがったのがこちらになります。

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賞味期限が間近い焼豚が余っていたのと、薬味としてのわけぎを追加投入いたしました。

これはなかなかの味でした。というより、やはり2人前一気に食べて正解だった。おそらく1人前だけだったら、「足りない…」とボヤいたはず。街なかのお店でつけ麺を食べる時に、300g以上で注文する方は、2人前でちょうどいいはずです。そういう量です。

わずか数ヶ月での変更ができるか?

昨年10月に発売した商品を、年明けすぐにフルモデルチェンジする。それだけ売れなかったのだろうという見方もできますが、この潔い決断は大正解。グジグジと未練がましいことをやっていたら、日清やサッポロ一番に足元をすくわれる。ダメなものはダメと、即引っ込める。

これは意外と難しい。担当者のプライドもありますし、それを承認した上司の責任も問われる。
東洋水産社内が、そんな小さなことに囚われていないのであれば、それは企業として正しい方向に進んでいるということ。シェア4位から、上位企業と拮抗する展開に持ち込んだ勢いは、まだ残っているということでしょう。

カップ麺も含めれば、星の数ほどの商品が市場に投入されるインスタント麺業界。次の大ヒットはどこが出すのかわからない一方で、そう簡単に誕生するものでもない。
だからこそ、相手に利を与えるようなミスはしてはならないし、ミスはすぐに取り戻さなければいけない。

鍋用をあきらめ、すぐに「つけ麺」として再投入する。「つけ麺」が大ヒットするかはわかりませんが、この機敏さは賞賛されるべき判断だと思います。なぜなら、多くの企業はそれができずに凋落していくのですから。

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      2015/09/22

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