ZOZO前澤社長100万円お年玉のその後
すべてはこのツイートからはじまった
平成最後の正月。年頭の話題を飾ったのは、3億円マグロと、これだったか。
ZOZOTOWN新春セールが史上最速で取扱高100億円を先ほど突破!!日頃の感謝を込め、僕個人から100名様に100万円【総額1億円のお年玉】を現金でプレゼントします。応募方法は、僕をフォローいただいた上、このツイートをRTするだけ。受付は1/7まで。当選者には僕から直接DMします! #月に行くならお年玉 pic.twitter.com/cKQfPPbOI3
— Yusaku Maezawa (MZ) 前澤友作 (@yousuck2020) January 5, 2019
女性タレントとの交際や宇宙旅行でも話題を振りまくZOZOTOWN社長前澤友作氏が、twitterでお年玉として100名に100万円をプレゼントするという告知をしたのが1月5日でした。社長のアカウントをフォローし、上記ツイートをリツイート(RT)するだけで100万円もらえるという、なんとも太っ腹なプレゼントに、それまで50万人程度で推移していた前澤社長のアカウント(@yousuck2020)は、一気に600万人を超えることに。
応募方法が極めてシンプルで、しかも話題の人だから、まさか嘘はないだろうということで、皆さん殺到したわけですが、蓋を開けてみれば、RT時に100万円の使い途として、いい感じのことを書いていた人が「当選」したようで、拍子抜けした方も少なくなかった模様。
100名の当選者さまにDMを送り終えました。皆さまの素敵な夢とRTに改めて心から感動と感謝です。あまりにも好評でしたので、いずれ第2弾もやりたいと思いますが、、、その前に #ZOZOからもお年玉 えっ!?えっ!?こちらもご覧ください!https://t.co/TS9b1eHF4S pic.twitter.com/7nMvGAj61t
— Yusaku Maezawa (MZ) 前澤友作 (@yousuck2020) January 8, 2019
その後、「こういう風に使いました」という話題が、ほとんど聞こえてこないのは、いい感じのことに使われている故なのか。
フォロワーはどのように減っていったか
さて、私が注目したのは、フォロワーの減り方。ある意味で、100万円というお年玉を餌に、大量のフォロワーを獲得した前澤社長ですが、「結果」がわかれば、もうフォローしている必要はない。今さら、女性タレントとのイチャイチャシーンとかを見てもしょうがありませんし。
ただ、フォローを外すという行為は、積極的な行動を必要とする。別に気にならななければ放置しておけばいいし、ちょっとムカついたら、ミュートするという手段もtwitterにはある。だからこそ、それでもなお「フォローを外す」という行為をする人は、どんな感じで推移していくのか、とても興味がありました。
1月5日からではありませんが、1月8日頃から、暇を見つけては、前澤友作氏のアカウント(@yousuck2020)のフォロワー数を、丹念に追っかけておりました。フォロワー数をグラフ化するサービスもあるようですが、ここは調査マン、地道にデータ収集をいたしました。
で、実は昨日の午後3時頃、ピーク時から100万人減少したので、ここで一旦まとめておこうと思い、今回のエントリーを書くことにしました。
フォロワー数減少のグラフは下記のとおり。
1月8日13時頃の612.9万人がピークとなったのは、その日の9時頃、締切告知があったから。
おはようございます。
当選者へのDM配信開始します!
100名に送り終えるのに数時間かかると思います。
楽しみにお待ちください!!
— Yusaku Maezawa (MZ) 前澤友作 (@yousuck2020) January 8, 2019
その日の夜9時頃までにガクンと37万人減っております。自分のところに当選のメッセージが来なければ、もういいやという方が5~6%いたということです。
その後はなだらかに減少し、週末になると、皆さん冷静になるのか、減少の加速度がついたりしましたが、おおむね1時間に500人前後の減少ペースでした。
で、昨日1月28日の15時頃、フォロワー数が512.6万人となり、ピークから100万人減ったというわけです。
グラフは、お年玉告知前の数値はないので、減る一方という印象を与えてしまいますが、
それでも500万人のフォロワーがいる
ということは事実です。そこは間違えないようにお願いいたします。
あの時のtotoBIGはどうだったか
自分は、1980年代後半のバブルの頃から、バブルの研究を密かにしておりました。野口悠紀雄さんの「バブルの経済学」や、ガルブレイスの「バブルの物語」を読んだりもしました。たかがチューリップの球根が、家を1軒買えるほどの値段をつけることもある。そりゃ、「(狭い)千代田区でカリフォルニアが買える」とか、「日本全土でアメリカが3回買える」というアホなことも起きるわけです。
バブルのうねりは、マスコミが取り上げてくれるので、データも取りやすいのですが、その後はなかなか報道されない。地道な作業が求められます。そう、統計って地道なんですよ、厚生労働省の皆さん。
今からもう12年前の2007年、totoBIGの売場に人が大行列を作ったことを覚えていますでしょうか。当選者がなかなか出ず、キャリーオーバーが10億円を突破した。で、「いよいよ当たるのか?」ということが話題となり、なぜか皆さん急にtotoBIGを買いに走った。年末ジャンボなどと同様、当選確率はどれだけ売れようと変わらないはずなのに。
「買いに行く」という積極的な行為と、「買わない」という消極的な行為なので、今回のZOZO前澤フォロワーバブルと同一視はできませんが、当時のtotoBIG売上の推移を見てみましょう。
2007年5月12日締切の第277回BIGが、何か凄いことになってるらしいという噂が出て、売上は当時史上最高の10億円を突破した。それまでは2億円にすら届かなかった回がほとんどだったのに、キャリーの累積とともに、2億円突破、5億円突破ときて、一気に10億円を超えました。そこにマスコミが飛びつき、報道をした結果、販売のオンラインがダウンして、またそれが話題になり、第278回を迎えたのです。
で、その第278回は、まさかの61.2億円。いまだに破られることのない記録です。そしてこの回に、1位5億6313万2913円の当選者が一挙に7名出て、キャリーオーバーはゼロに。
注目の次の回は5.7億円の販売と、BIGバブル前の状態に戻りました。
グラフが再び上昇を始めているのは、同じくキャリーが貯まったのと、年末でボーナスをさらに増やそうという方が投じたと推測されます(BIGは毎年末参加者が増える傾向にあります)。
ZOZOTOWNユーザーは増えたのか
その後のtotoBIGは、ネット販売を導入したこともあり、おおむね10億円前後の売上で、時折ある10億円BIGの回に、売上が50億円くらいに跳ね上がりますが、まあ世間の皆さんもほとんど話題にしません。ちなみに直近の第1066回の売上は10億円に届かず、8.4億円でした。
宝くじが売れなくなっているといわれ、ジャンボくじなども今はネットで買うことができます。今は平日にやっている地方競馬も隆盛を見せています(「今地方競馬が熱い!特に高知競馬が熱い! - とみざわの神視点マーケティング」ご参照)。
一攫千金を狙う人向けに、あらゆる業界があの手この手で戦略をぶつけてきていますが、totoBIGは思わぬバブルがあったものの、その資産はすでに食いつぶした格好です。
さて、前澤社長にとって肝心なのは、フォロワーが50万人ほどから、10倍増加したのはいいとして、ZOZOTOWNのユーザーは増えたのかということ。問題はそこです。
前澤氏は「みんな楽しんだからいいじゃん」とツイートしていて、前澤氏のファンとみられる方の多くは、それを追認していますが、上場企業である以上、投資家はそれでは許しません。自社の価値を毀損する行為などあってはならない。
100万円のお年玉は、ZOZOTOWNにとってプラスだったのか、マイナスだったのか。その判定は、もう少し長い目で見たいと思います。