中学軟式野球の危機

ベイスターズ筒香嘉智の提言

我がベイスターズの4番、日本の4番、筒香嘉智が外国特派員協会で会見。

昨年あたりから、リトルリーグやシニアなどの子供の野球について提言をしてきた筒香選手。

DeNAの筒香が日本球界に訴えた強烈な危機感 | スポーツ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

日本を代表するホームラン打者としての地位を築いたこともあり、ここにきて、野球の未来に関する提言をしている筒香選手。バラエティ番組でバカを晒すことより、よほど価値のあることです。素晴らしい。
筒香選手の言いたいことは、おおむね以下の3点に集約されます。

  1. 野球の勝利至上主義の改革
    トーナメント戦からリーグ戦へ
  2. 肩・肘の酷使を緩和
    球数制限の導入
  3. 指導者の暴言、暴力の根絶

昨夏も、日本ハムに入団する金足農・吉田輝星投手の球数が問題となりました。また、先ごろ新潟県高野連が試合での球数制限の導入を発表したら、こともあろうに日本高野連が待ったをかける始末。その理由が自分たちのプライドを汚されたというくだらないことだけに、開いた口が塞がりません。

新潟の球数制限導入「初耳…想定外」日本高野連驚く - 高校野球 : 日刊スポーツ

いずれにせよ、今の高校野球が異常な状態のまま開催されていることは、誰もが感じている。でも、吉田投手の熱投には興奮させられたりして、ついつい問題を先送りしてしまう。「もういい加減にしなよ」というのが筒香選手の気持ちなのではないでしょうか。

激減する中学軟式野球部員

筒香選手が、こんな提言をするのも、高校野球、ひいてはプロ野球の人材の供給源ともいってよい中学軟式野球の部員数が、激減しているから。中体連と学校基本調査のデータをもとに作成したグラフが、以下のとおりです。

生徒数の減少は、今さら説明するまでもありませんが、主な体育系部活動の中で、軟式野球だけ、2010年あたりからザックリと半減しています。サッカーも一時期伸びたものの減少期に入っていますが、これはクラブチームに流れていると推測できます。

野球も、シニアやボーイズなどの硬式野球があります。何より筒香選手自身は、堺ビッグボーイズの出身。じゃあ軟式野球部に入らず、シニアなどに流れているのかというと、下記の記事中にあるグラフを見る限り、中学の野球クラブチームに所属する選手数は5万人弱で、ずっと横ばいです。

「野球離れ」でも高まる少年硬式野球への期待 | 日本野球の今そこにある危機 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

ちなみに女子の主要な部活動部員数は、下記のような感じ。

バレーボールやソフトテニスが減少傾向にありますが、軟式野球ほどではありません。

高校野球部の部員数はどうなのか

では、高校野球はどうなのかというと、実は部員数はほとんど変わっていません。中学の軟式野球部員数と合わせてみると、下記のようなグラフになります。

このグラフの示す意味は、

中学で野球をやっても、高校ではやらない

ということ。

中日に入団した根尾君を筆頭に、ミレニアム世代と呼ばれた大阪桐蔭の中心選手は、ほぼ全員中学時に硬式野球のクラブチーム出身。プロに進むような実力を備えた有望選手は、シニアやボーイズに所属し、高校で野球部に入る。だからプロで活躍する人材が枯渇するということは、当面はないでしょう。

才能の草刈場となる中学軟式野球

ただ、どんな競技でも、幅広く人材を集めることは、競技隆盛の必須条件。中学男子のグラフを今一度見ていただきたいのですが、「陸上競技」の部員数が、2007年あたりから、わずかながらでも上昇しています。これは

ウサイン・ボルト効果

だと考えられています。そして今、陸上の特に短距離がどうなっているかというと、中学・高校レベルのタイムが劇的に短縮されている。桐生祥秀選手を筆頭に、かつての日本記録のようなタイムを、高校生が軽く上回る時代になっています。

100メートル競走 中学歴代10傑- Wikipedia
100メートル競走 高校歴代10傑- Wikipedia

プロ野球の人気は、今また盛り上がっている。でも、この隆盛は、そんなに長く続かないかもしれない。
大谷翔平のような素晴らしい選手は、また現れるかもしれないけれど、競技としての全体のレベルは下がる可能性がある。

これまでスポーツの才能があったり、体格のよい子供は野球をやることが多かったはず。でもそんな子供はこれからは、サッカーだけでなく、Bリーグが話題のバスケや、陸上、卓球といった競技に流れ始めている。才能の草刈場と化しているといったら極端かもしれませんが、中学の軟式野球部員の激減というのは、そういう意味を持ちます。だから体罰や暴言で、子どもたちのやる気を奪っている場合ではないのです。

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      2019/01/27

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