モスバーガーは本当に不調なのか

突如ニュースになるモスバーガー

週刊現代のネットメディアである「現代ビジネス」。記事の数は東洋経済オンラインなどに比べ、さほど多くないものの、時にセンセーショナルな内容もあり、やはり男性週刊誌的な雰囲気があります。
そんな「現代ビジネス」に、モスバーガーの記事が載ったのは、成人の日である1月8日のことでした。

モスバーガーが「創業以来2度目の絶不調」に苦しむ致命的な原因(王 利彰) | 現代ビジネス | 講談社

毎月地道に「外食チェーン既存店売上高対前年比」(PC閲覧のみ)のデータを追いかけている自分としては、

そんなに不調だったっけな……

というのが第一印象。記事を読むと、「なるほどね」という感じでした。

ただ、それに追随してくる記事も表れると、さすがに放置はできません。

モスバーガーが「創業以来の絶不調」である、もうひとつの理由 - ITmedia ビジネスオンライン

不調の根拠

モスバーガーが不調という根拠は、「現代ビジネス」の記事を書いた王利彰氏によれば、2つあります。

1つは、フランチャイジーの高齢化による離脱。これはモスバーガーが早い時期からフランチャイズシステムを取り入れたことに加えたこともあるとのこと。
もう1つは、ここにきての高級バーガーのブーム。発端は佐世保バーガーだと思いますが、何段も重ねたバーガーを売り物にする店も増えてきた。さらに撤退したバーガーキングが、ロッテとリヴァンプ社の共同出資により再上陸を果たしたり、UMAMIバーガーのような黒船も進出している。ハンバーガー業界はにわかに混沌としているというわけです。

この2つに加え、ITmediaの記事では、全店完全禁煙ではないことが客足を遠ざけたと分析しています。たしかに、マクドナルドよりも質のよいハンバーガーを提供しているイメージのあるモスバーガーが、全店禁煙でないことは少し意外。ただ、完全禁煙が徹底できなかった理由は、フランチャイジーとの関係性にもあると指摘しています。モスバーガーは巨大チェーンとなったけれど、フランチャイジーは小さな飲食店主。せっかく足を運んでくれる喫煙者も、重要なお客様と考えれば、まずは分煙で様子を見るということが限界だったのかもしれません。

それぞれ納得のできる根拠ですが、肝心のモスバーガーの売上データは掲載されていません。業績を急回復させたマクドナルドと対照的に、2017年4~9月期は「前年同期比17%減の15億円だった」というくらいです。では実際の売上はどうだったのか見てみましょう。

既存店売上高をマクドナルドと比較

モスバーガーの売上データは、こちらで公開されています。マクドナルドと比較してみると、グラフはこうなります。

2016年1月あたりから、マクドナルドがいかに急回復したのかがわかります。一方でモスバーガーは、なんとか対前年比100を保っているものの、緩やかに下がっているように見える。
ただしこれはグラフのトリック。期間をもっと拡大するとこのように見えます。

2015年1月のマクドナルドは、対前年比61.4%という飲食業界ではちょっとありえない落ち込みとなりました。翌年の急回復は、「谷深ければ山高し」とでもいうべきもの。勢いこそ認めるものの、それ以前からの前年割れ傾向を考えれば、マクドナルドは「ようやく正常に戻った」という見方が正しいはずです。

新規顧客が獲得できない理由

モスバーガーは、マクドナルドが低迷している時に、数字を伸ばした。しかし、それを勢いに結びつけることができなかった。せっかくの巨大なライバルが失策をしたというのに、そのチャンスを生かせずにいたことが問題といえます。

公開されている他のデータからは、それがよくわかります。
例えば、客数はここ5年ほど、ほとんど増えていません。つまり新規顧客を獲得できていない。非ユーザーもつい利用したくなるような新商品が投入できていないことになります。

新規ユーザーが獲得できないのであれば、既存ユーザーが使う金額を増やすしかない。しかし、客単価も全く伸びていません。

超安定した経営をしているという見方もできますが、上場企業である以上、それは許されません。今はまだギリギリのところで、現状を維持しているように見えても、さらに長い目で見れば、いずれ衰退してしまう。現代ビジネスとITmediaの記事は、そんなモスバーガーに対し、警鐘を鳴らしたという意味が強いはずです。

フランチャイジーや全面禁煙の改革も必然なのでしょうが、マクドナルドとは異なる個性を追求してきたモスバーガーだからこそ、他の高級バーガーを上回る新商品が待たれるところ。ただ、マクドナルドも次々と面白い商品を投入しているだけに、簡単なことではありません。

ダブチを超えろ! | McDonald's Japan

マクドナルドは大衆路線を維持しつつも、チープな印象が徐々に弱まってきている。モスバーガーの現ユーザーに、

マクドナルドも最近いいよね

と思われたら、モスは終わってしまう。

そうならないための秘策は打ち出せるのか。そこに注目なのですが、この新メニューではちょっと厳しいか。

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