東大を知らない高校生たち

本当に東大を知らないのか

先月中旬、東洋経済オンラインに掲載された、リクルート社実施の「進学ブランド力調査」。その結果に愕然とさせられました。

「高校生からの知名度が高い大学」ランキング | 就職四季報プラスワン | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

「知名度が高い大学」ということで、なんとなく受け流してしまいそうだけど、関東圏の高校生で「東京大学」を「知らない」と答えた者が10%ほどいる。関西圏にいたっては、20%以上もいます。

天下の東大です。テレビでもクイズ番組を中心に、「東大!東大!」と連呼し、東大卒のタレントを使ったりしている。
だというのに、「東京大学を知らない」という高校生が、実在するのか、にわかには信じがたい。

あまりにも気になったので、リクルート社に直接問い合わせてみました。
以下、その回答をまとめたものです。

調査対象は7万4000名

「進学ブランド力調査2017」の概要は、下記のサイトから閲覧可能。プレスリリースもダウンロードできます。

進学ブランド力調査|レポート・調査|リクルート進学総研

調査対象となるのは、2018年3月卒業予定者、いわゆる現高校3年生世代。そしてここも注目すべきところですが、対象のリストは、

リクルートが発行する進学情報誌「スタディサプリ進路ブック」および、配信する進学情報WEBサービス「スタディサプリ進路」会員リスト

です。つまり、進学意欲のある層といってよいでしょう。
これを今どき珍しい「郵送法」で実施しています。そのためか回答数は10%ほどの7,981名。集計対象数は6,986名となっています。

70余校のマルチアンサー

東洋経済オンラインは「知名度」と書いているけれど、実際の調査票ではどうなっているのかわかりません。
たとえば、認知度を測定する形式には、こんな設問方法があります。

Q.あなたは○○○をご存知ですか。(1つに○)
1.よく知っている →知名度に採用
2.名前は聞いたことがある程度 →不採用
3.知らない →不採用

これの選択肢1だけを集計すれば、「東大を知らない」が10%いても不思議ではありません。でも「進学ブランド力調査」はそうではありませんでした。

関東圏の高校生には、回答してもらう大学が303校(関東エリア241校、他エリア62校)ある。それを4グループに分け、つまり1人あたり75校程度を回答してもらうようにしておりました。
300校以上回答するのは当然、70校以上の選択肢が並ぶことも、回答者に相当な負担があります。だから、上記のような完全回答型の設問形式は使えません。
リクルート社は、下記のような、校名を列挙した複数回答形式をとっておりました。

Q.あなたが知っている学校にすべて○をつけて下さい。
(○はいくつでも)

1.東京大学 2.一橋大学 3.早稲田大学 ・・・・

つまり、「東京大学を知らない高校生」というのは、正確には、

東京大学を知っていると回答しなかった高校生

ということになります。あくまでも消極的な回答であることに注意が必要です。

検 証

これら事実をもとに検証してみると、いくつかのポイントに分けられます。

【対象リストの問題】

「スタディサプリ進路」という本・アプリに登録している高校生とはいえ、「クラス単位、学校単位で登録していることもある」ため、必ずしも上位校を目指す高校生ばかりではないそうです。看護系をはじめとした、文系・理系の枠組みに囚われない分野を志望する高校生にとっては、東京大学は視野に入っていない可能性もあるとのことでした。

【東大非認知層は確かにいる】

リクルート社では、高校生に実際にインタビューなども実施していて、それによると、「東大=東京大学と認識していない層は確かにいる」とのことでした。
東大だけでなく、「東京農業大学を東大と呼んでいいの?」とか、「北大=北海道大学」との認識もない層がいるのが実態のようです。著名大学とはいえ必ずしも認知していない層はいるのは事実のようです。

【設問方法の問題】

複数回答形式の設問は、回答者の見落としのリスクがあります。「見落としによるものではないのか?その検証をしたことはないのか」と、担当者に再度確認いたしましたが、その検証をしたことはないようです。

70余校は、おそらく学校コード(ベネッセ社のPDFにリンク)をもとにしていると思われます。国立→公立→私立の並び順ですから、東京大学はかなり前の方に配置されます。
仮に、これを完全にランダムに配置したり、国公立・私立を混在させた五十音順などにすると見落としやすくなります。進学予定者であれば、模試で志望校を記入する際、コード表の並び順に慣れている可能性が高いからです。

選択肢の並び順が実際にどうであったのかは、確認しておりません。ただ、自分が一番引っかかるのはここです。

考 察

自分が大学受験をした30年前と現在では、様相は一変しています。
進学率は倍増(25%→50%)している一方で、大学数も1.5倍(1990年507校→2012年783校)になっています。オジサン世代の大学の見え方と、今の高校生の見え方は異なるのでしょう。

また、受験料も馬鹿にならない金額となっているため、最近の受験生は「記念受験」なるものをしなくなっています。
これは、進路指導の先生の影響もあります。経済的に浪人生活が許されない生徒に対しては、より堅実な志望校選択をさせるようになっているうえ、高校としての進学実績にも影響するからです。
だから、「東京大学を知っていると回答しない(=東京大学を知らない)」という高校生がいても不思議ではないのかもしれません。

選択肢の見落としに引っかかる部分は残すものの、受験生が見通す大学の姿は、以前にも増して多様化しているのは事実なのでしょう。大学から離れた今、すぐには検証しようがありませんけれども、機会があれば、高校生に聞いてみたいと思います。

東京大学を知っていますか?

と。
そして、最終的な結論は、次のようになると思います。

(結 論)
東京大学は、リクルート社にもっとたくさんお金を払って、宣伝すべき。

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