Amazonジェフ・ベゾスの最終目標

東洋経済のアマゾン特集

週刊東洋経済の先週号は、「アマゾン膨張」という刺激的なタイトルの特集。facebookにこの号のことを書いたら、何人かから反応があり、やはり注目せざるを得ない件なのかと実感いたしました。

今の日本で、アマゾンの影響を全く受けずに生きることは、ほぼ不可能になりつつあります。これは誇張でもなんでもありません。何しろ、コンビニのセブンイレブンと、大規模小売店のイオンがアマゾンの猛攻の前に立ちすくんでいる状況なのだから、日本国民すべてがアマゾンの直接に間接に影響を受けているはずです。

そういう意味でも、この号は必読。ビジネスマンなら最低限、アマゾンがどういう利益構造で、どこに向かっているのかを確認しておく必要はあるでしょう。

ジェフ・ベゾスの意志

その特集記事は、どれも刺激的でしたが、私が最も注目したのは、元アマゾン社員の座談会(P44)。
なんでもアマゾンでは、数字を0.01%単位で見ることが常識のようで、それだけケタの大きな数字を相手にしているのだから当然なのでしょう。何しろ1兆円の売上の0.01%は1億円なのですから。

哀しいのは、それを楽天が真似しようとしたけれど、わずか3か月で終わってしまったこと。細かな数字を見る能力がなかったのか、それよりも重要なことがあったのかわかりませんが、「これを見て、日本企業はアマゾンに勝てないなと感じましたね」という結びの言葉が、すべてを象徴しています。

そのコメントの直前に、アマゾン社内でよく使われる言葉が書かれています。それは、

"Good intentions don't work"

という言葉。
「intention」は「意図」。「意志の力に頼るな」というジェフ・ベゾスのメッセージだそうです。

アマゾンは、「どんな業務であっても、属人的にならず、メカニズムを作るという哲学」がある。つまり、Aさんが担当していた時と、後任のBさんが担当する時に違いがあってはならないということ。当たり前のことですが、メカニズムを作るとは、別の言い方をすればシステム化するということ。これはつまり、

あらゆる仕事を、AIとロボットに置き換える

ということを示唆しているのではないでしょうか。

人間はAIに勝てない

話は変わって、先週のNHKスペシャルは「人工知能」でした。

将棋の佐藤名人が、将棋アプリ「ポナンザ」相手に苦悩する姿を、羽生三冠が淡々と解説する。日本最高の棋士をもってしても、もはやAIには勝てないのかと空恐ろしさすら感じる内容でした(だから番組サブタイトルが「天使か悪魔か」なのでしょう)。

番組では、タクシーの配車にAIを導入し、入社間もない運転手でも、「流し」で乗客をつかまえることができるシーンがありました。あれはおそらく、以前テレ東「ガイアの夜明け」で、日本交通の若社長が取り上げられた際にもやっていたシステムと同じ。タクシー業界ですら、AIの導入により、ベテランと新人の差がなくなりつつある。年功序列型賃金制度は、積み重ねた経験値を年齢とともに給与に反映する仕組み。それがAIにより破壊される。

他業界も時間の問題と考えておかないといけません。

混沌とする働き方

日本では、大手広告代理店での新人女性社員の悲しい事件があってから、働き方を変えようというスピードが上がってきました。生活にメリハリをつけることが、これまで以上に求められますが、その一方で、

必要以上の仕事はしたくない
給与はそんなにいらない
役職者なぞになって責任を負いたくない

と考える若手従業員が増えてきているのも事実。
「それで将来どうするの?」と問いたいところですが、そんな考えもまた、個人のキャリアプラン、ライフプランなのだから尊重するしかありません。

ただ、そんな生き方もアリとすると、現在のような正社員と非正規雇用という分け方ではなく、いずれ従業員は、「昇給の有無」で分けざるを得ないのでは。
つまり、企業の人員構成は、下図のようになる。

昇給を望む者は、年俸制で雇われ、勤務時間という考え方はない。成果に応じて昇給する。昇給なしは、残業などは一切なし。責任もなし。ただしその仕事はいずれ、AIやロボットに次々と置換えられていく。

「昇給なし」という待遇が、労働法などの観点から許されるものなのかわかりませんが、年功賃金の考え方は事実上瓦解しています。今後は「昇給の有無」が勤務体系のキーワードになってくるのではないでしょうか。

アマゾンの究極目標は従業員ゼロ?

ここまでは、ある意味では当たり前のように考えつくこと。ただ、ジェフ・ベゾスの言をみるに、彼はさらにその先まで見据えているのではないでしょうか。
つまり、

管理職も、下手をすれば経営者も
AIやロボットでよい

と考えているのでは、ということです。

「Good intentions don't work」というメッセージは、ベゾス自身に問いかけている言葉のはず。ネットから注文をすると、センターで仕分けがはじまり、自動でトラックに積み込まれ、自動運転のトラック(もしくはドローン)によって、宅配ボックスに届けられる。人間が介在する余地はありません。

物流の現場に人間は必要なくても、そのシステムを監視する人間が必要と考えがちですが、現在はシステムの不備を監視するのもまたキカイ。突き詰めれば、現場に人間は不要となります。
現場に人間がいないのだから、お飾りのような経営者がいてもしょうがない。つまり従業員が全くのゼロという会社が、アマゾン究極の将来像なのではないでしょうか。

本当にこんなところを目標に膨張し続けているのだとしたら、世界はアマゾン一色となってしまう。
やはりどこかで、AIやロボットに歯止めをかけようという動きはあるのでしょうか。そしてその時AIは、そんな人間の動きに応じてくれるのでしょうか……?

※文中イラストは「かわいいフリー素材集 いらすとや」を使わせていただきました。

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