さらなる激変を迎える本を取り巻く世界

コツコツと書店営業

拙著の販売をプッシュするため、先月来、折を見て書店を訪問しております。

首都圏ターミナルの店舗はおおむね回って、今後は郊外に。あと先日は名古屋に行ったので、大阪も行ってみたいのですが、なかなか予定も立たず。
でもやはり平積みされていると嬉しいですな。平積みでなくとも、棚に平置き(というのかはよくわからない)してくれるだけでありがたいです。

こうして数多くの書店を回っていると、それぞれの店舗の個性の違いも見えてきて面白い。雑誌や漫画中心の店では、自分の本は棚に刺さっているだけ。やはり周辺にビジネスの匂いがある街でないと厳しいことがわかります。
また、同じ街でも、おそらく店主の方針だと思いますが、芸術系に重きを置いているという店もあったりする。

そういえば吉野家の有楽町店の横に
共産党系の本屋があったよな

なんてことを思い出したり。

そんな折も折、本を取り巻く業界にビッグニュースが2つ入ってきました。

渋谷からブックファーストが消える

1つめはこちら。

ブックファースト渋谷文化村通り店、閉店 - ITmedia ビジネスオンライン

かつて東急本店の斜向いのビルに、丸ごと入っていたブックファースト。渋谷に事務所を構えていた頃、東急本店にまだ丸善ジュンク堂がない頃、散々利用しておりました。
でも、関西の阪急系だからなのか、時代を見通す眼力がありすぎるのか、ビルごと撤退し、渋谷駅に近い、今回閉店する店舗に集約してしまった。
地下1階と地下2階という地下店舗で、フロアはかなり狭い。しかもファッション系雑誌を多く置いているから、書棚の背が高く、圧迫感がありました。

店舗効率としては、決してよいとはいえないと思うので、撤退もやむなしなのでしょう。しかし、今後さらに開発がある渋谷から撤退する判断は、さすが関西系とも思えます。ここでズルズルと判断を先延ばしにすると、(業界は全然違うけど)シャープや東芝みたいなことになります。

そこを撤退し、次にはヴィレッジヴァンガードが入る。

(見ての通り自由が丘店ですが)

ビレバンもいちおう本屋さんではありますが、系統はかなり異なる。東急本店前にあるドンキが影響を受けるのでしょうか。外国人観光客に、ビレバンの不思議さに気づいてもらうパイロット店舗となるかもしれません。

Amazonが日販との取引中止

出版社をメーカーとすれば、書店は小売店。その間を取り持つ卸売は、いわゆる「取次」。その取次業界に激震が。

【新文化】 - アマゾンジャパン、日販非在庫書籍取寄せ発注を6月30日で終了
アマゾン、日販への発注を一部中止 - SankeiBiz(サンケイビズ)
東京新聞:アマゾン、出版社と直接取引強化 日販への発注一部中止へ:経済(TOKYO Web)
アマゾン、出版と直接取引 一部書籍、取次の日販介さず  :日本経済新聞

要はこういうことか。

  • アマゾンはロングテールなので、いわゆる売れ筋以外の書籍も数日のうちに配送したい。
  • でも取次はそこまで対応しきれず欠品となっていた。
  • 改善が見られないから、これからは日販との取引をやめて、出版社と直にやる。
  • 実は現状の3割は、すでに出版社との直取引。

卸売業界は、もう20年以上前から荒波に晒され、業界再編があった。そして、中小の書店は、アマゾンとコンビニに完全にやられてしまったのだから、取次がこうなっても何ら不思議ではない。
というより、上記の日経の記事の最後に、恐ろしいことが書いてあります。

アマゾンは今年はじめに専用の物流拠点を設けるなど、出版社との直接取引に向けた体制整備を進めている。専用のトラックが出版社の倉庫から書籍を集めて全国の専用倉庫に運び、沖縄を除く地域で発売日当日に消費者に届けるサービスを今秋までに始める計画だ。
(「日本経済新聞」より)

秋なんてすぐ。ヤマト運輸との交渉はあるけれど、やると決めたらやるのでしょう。アマゾンが本の流通のすべてを抑えるのは、時間の問題なのかもしれません。

それどころか、10年後か、30年後かわかりませんが、いずれ電子書籍が主流を占める時代は到来する。そうなれば自前で持っていた流通網をなくして、Kindleに移行すればいいだけ。その頃には、電子書籍の制作も今よりずっと簡単になっているでしょう。かつてHTMLの知識がなければホームページ制作ができなかったのが、メールを書く感覚でブログやSNSに投稿し、自分のプロモートができるようになったように、同じような流れで、電子書籍まで制作できるようになる日は来る。
その時、日本の、いや世界の出版業界はアマゾン一色となってしまうのか。アマゾンが戦うのは、もはや独禁法だけになってしまうのかもしれません。

自分が本を出したタイミングということもあり、他人事ではない本を取り巻く業界の大変化。来年の今頃は、勢力図が全く変わってしまっているなんてことになっても、何ら不思議ではありません。

 

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