スポーツ馬鹿にならないための環境適応力

春の珍事オリックス2位!

開幕3連敗を喫し、「あぁやっぱりね」と誰もが思ったオリックス・バファローズ。

そらパパポンタも痛飲しますというくらいの負け方。しかし、この試合の直後から、まさかの(失礼)6連勝!

そして、4月20日現在オリックスはパ・リーグ2位。

プロ野球 - 順位 - スポーツナビ

パパポンタも、塩ファサーを真似る余裕が。

Ottoman steak 🔪

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まさに春の珍事! まあ楽天が1位というのもアレなのですが、それ以上にソフトバンク、日ハムが低迷しているのがなんとも。WBCの影響はどこまであるのでしょうか。

さて、そんなオリックスで、現在2軍監督を務めている田口壮さんが、日経にコラムを持っております。その内容がとても興味深かったので、ご紹介いたします。

元日記職人のオリックス田口2軍監督

田口壮といえば日記職人、日記職人といえば田口壮というくらい一部マニア界隈では有名でした。オリックス時代の同僚だったイチローほど優れた打撃・守備能力があるわけではない。なのに、日本プロ野球でもメジャーリーグでも、ほぼ同じ成績を残す不思議な野球選手。そして、セントルイス・カージナルスの名将トニー・ラルーサに愛された選手。さらにワールドシリーズのチャンピオンリングを、異なるチームで2つ保持する男。それが野球人としての田口壮のすべてを表しているのではないかと思います。

メジャー時代から、その類まれな文才が評価されていたのだから、日本マスコミが放っておくわけがないのは当然の帰結か。日経のコラムはこちらです。

2軍監督 田口壮!:日本経済新聞(有料会員限定)

その最新回では、選手が使う道具、つまりバットやグローブについて書いています。

野球道具への工夫が生む「プロの心構え」:日本経済新聞

オリックスは古くなった2軍施設を、大阪・舞洲(まいしま)に移転・新設しました。

素晴らしい施設群に恵まれたこの環境をどのように自分たちでアレンジして、より使い勝手のよいものにしていくかが大事。そんなことに思考を巡らせていると、現在の2軍選手の恵まれた道具事情がふと気になりました。
野球道具への工夫が生む「プロの心構え」:日本経済新聞」より

2軍選手は、いつか1軍に上がれる日を夢見て、ひたすら練習・試合に明け暮れるところ。年俸もまだ安い。なのに道具について恵まれているとはどういうことなのか?

(ベイスターズの2軍施設ですが)

かつてとは変わった日本プロ野球の2軍事情

田口2軍監督の現役時代、2軍だった頃は、バットは自分で買っていたようです。そのために購入資金を積み立てていたとか。
ところが今は、そうではない。

今は、2軍の選手でも道具は全て無償提供してもらえます。手型から作ったオーダーメードのグラブが届きますし、バットも工場に行って思い通りの形に削ってもらうことが可能。そうした待遇が2軍にまで浸透することは、道具に頼りすぎることにつながるのではないかと危惧しています。
(引用同)

スポーツ用品業界も、ご多分に漏れず少子化の洗礼を受けている。だから、将来が期待される選手には投資しておきたい。そのためにかつてはやらなかった、2軍選手の青田買いをしているのでしょう。もしかしたら、技術の発展により、個々の選手に合わせた用具を作りやすくなったことも背景としてあるかもしれません。
選手にとってはありがたいことでしょうけど、田口2軍監督は、米国の事情を持ち出し、その過保護さに警鐘を鳴らしています。

私が8年間プレーした米国には、道具を自分に合わせてもらうのではなく、自分が道具に合わせていくという文化が根付いています。大リーグにいる選手でも、使っているのはグラブならば150~200ドルぐらいの市販品。当たり前のようにそういう環境で育ってきたので、彼らは与えられた道具をどんどん自己流にアレンジして、自分の体になじむようにつくり込んでいくわけです。
(引用同)

メジャーリーグの平均年俸は、昨年は約4億6000万円。

大リーグ平均年俸、今季は約4億6000万円  :日本経済新聞

ところが日本の2軍にあたる3Aは、月収が20万円程度。

給料は?食事は?マイナーリーグQ&A― スポニチ Sponichi Annex 野球

この中から、食事代から用具費まで捻出するのだから大変です。自ずと用具を工夫して使う文化が根付いているのでしょう。

(2軍時代、覚醒前の筒香嘉智)

用具の問題だけではない野球界

田口2軍監督は、日本の2軍事情を憂いて、こんな風に結んでいます。

翻って今の日本球界は、欲しい物が何でもオーダーして手に入る時代で、ハングリーさに欠けているとも映ります。「弘法筆を選ばず」ではないですが、どんな道具が来ても「俺色に染めるぞ」というぐらいの気概が欲しいとも感じています。
(引用同)

3Aどころか、2A、1A、ルーキーリーグとメジャーを頂点としたピラミッドが構成され、選手層が日本とは桁違いのアメリカ・メジャーリーグ。田口壮の言いたいこともわかりますが、海外経験のない日本の2軍選手たちに、ハングリーさを求めても、なかなか実感の湧かないところでしょう。

用具に対する適応力を高めることは大切なのですが、野球に関しては、選手の意のままにならない問題もあります。WBCのたびに問題になっているボールの大きさです。
メジャー球は日本の球より少し大きく、作りが大雑把。そのままだと滑りやすいため、手になじむように、審判団が試合開始前にその日の使用球を、「魔法の泥」で1球ずつ塗ってこねていきます。

MLBのボールに練りこまれる「秘密のスパイス」とは?【動画】 | 日刊SPA!

一方、日本球は均質で、しかもしっとりしている。審判が泥でこねる必要はない。さすが日本メーカーの面目躍如といったところですが、こんなことはサッカーではありえない。どちらかに統一というか、日本メーカーの顔を立てることもよいのですが、日本野球の未来のためにもメジャー球で統一した方がよいのでは。

というのも、この球の大きさなどの違いが要因となり、アメリカに渡った数多くの投手が故障しているから。
メジャーで32勝をあげた吉井理人は、こんなことを書いています。少し長くなりますが引用いたします。

よく日本とメジャーの違いで言われるのが、ボール、マウンドの硬さ、移動、時差、登板間隔などです。おそらく最初に直面するのがボールの違いでしょう。メジャーのボールは縫い目が高く、表面が滑りやすい。それに日本のボールよりも大きい。これまで日本のボールに慣れ親しんだ投手にとっては、メジャー球はとても厄介なボールだと思います。
私は、とにかくメジャーリーガーになりたかったので、あのボールで投げることが楽しかったし、扱いにくいと思ったことはありませんでした。ただ、キャンプ後半だったと思うのですが、急に腕が張りだして、投げることができない。自分では意識していなかったんですけど、日本にいた時よりもボールを強く握っていたため、これまで使ったことのない筋肉を痛めてしまったんです。
吉井理人が語る「日本人投手がメジャーで成功するための条件」|スポルティーバ 公式サイト web Sportiva」より

野茂、岩隈、ダルビッシュ、田中将大、そして松坂大輔。日本でも超一流だった投手は、アメリカでも期待に応える活躍を見せている一方、全員故障による長期休養を余儀なくさせられている。早期対策が求められますが、日本球界からの選手流出と裏腹の問題でもあるため、野球機構は腰を上げてくれるかどうか。何ともイライラさせられます。

適応力を鍛えるために

海外に「適応できる日本人選手」は、身体的資質が重要ですが、それだけでなく、メンタル面の強さというか、おおらかさが必要だと思います。図にしてみるとこんな感じになります。

おおらかさとは、環境に対する適応力。身体の大きさに、適応力があれば、どこの国に行っても活躍できる。
Aの代表はもちろんトルネード野茂英雄。身長が実は188cmもあった野茂投手は、日本球もメジャー球も、マウンドが固いとか柔らかいとかあまり気にならなかったのでは。もちろん無口な方ですから、内面ではどうだったかわかりませんが、いまだメジャーにおける日本人最多勝(123勝)だけでなく、2度にわたるノーヒットノーラン、しかもメジャーリーグでも史上4人しかいない両リーグでの達成という実績が、すべてを物語っていると思います。

その後を追いかける、ダルビッシュ、田中将大らは、いずれも身体のサイズは野茂と変わらないか、むしろ大きい。ただ、野茂に比べると、神経がこまやかといってよいかと。だから、上図ではBに位置する。
特に昨今YouTubeの投稿でも話題になっているダルビッシュ投手は、その研究熱心さが逆に不安になるくらい。田中将大の方が、その点鷹揚に構えているように見えます(あくまでも私の主観ですが)。

昨年メジャー1年目を過ごし、16勝をあげた前田健太はCに入るのではないかと。いい意味の大雑把さを感じます。だから身体のサイズは少し小さくても活躍できると、期待を込めて考えています。

身体のサイズがないのであれば、ハングリーさとともに、環境に適応する能力を身につけるべき。今あるモノをカスタマイズして、自らが生きるためのツールとする。ただ、それが今日本の若手選手から失われようとしている。
スポーツ用品メーカーも生き残りを賭けているのでしょうが、過保護にしすぎたあまり、適応力が身につかず、海外に飛躍するチャンスを失っては意味がありません。可愛い子だからこそ、あえて厳しい旅をさせることも必要です。

とはいえ、期待される選手ほど、子供の頃から声がかかる。スポーツ用品メーカーも目をつけておくでしょう。ならば、選手自身が競技、そして競技以外の生活で、そうした適応力を養うことを習慣づけるのも大切。わかりやすくいえば、お仕着せではなく、頭を使えということであり、つまるところ、よくいわれる「スポーツ馬鹿」になるなということなのだと思います。

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