昭和の黒い霧事件で失ったもの
松本清張
「黒い霧」は、松本清張作品の「日本の黒い霧」を語源とする。
しかしベテランプロ野球ファンとすれば、「黒い霧事件」の方が喉奥に突き刺さったまま取れない骨のように感じるでしょう。
なぜ今またこんな言葉が出回らないといけないのか。
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悲しい限りです。
消えた大エース
昭和の「黒い霧事件」の渦中にいたのが、西鉄ライオンズの池永正明投手。その後プロゴルファーとなった尾崎将司(当時・正司)と同期入団。しかしあのプライドの高いジャンボ尾崎をして、
こいつには勝てない
と言わしめた素質。ジャンボ尾崎だって、春のセンバツ優勝投手。そんな選手が、プロゴルファー転向をあっさりと決意するほど、池永正明投手は素晴らしかった。
入団してからの成績は、
1965年 20勝10敗
1966年 15勝14敗
1967年 23勝14敗(最多勝)
1968年 23勝13敗
1969年 18勝11敗
と見事なもの。
入団5年間の勝数は、歴代6位。
上位5人は化け物クラス。その次にランクされる事実。さらに、筋肉が「つきたての餅」と表されたといわれる身体的素質に、剛球に加え、クレバーな投球術も持ち合わせていたそうですから、300勝していたと考えても、全くおかしくない。
しかし池永さんのプロ野球投手としての成績は、1970年の4勝3敗を加えて終わっている。
野球界は、あの事件でいったいどれほどのものを失ったのか。
全容解明とともに
折からの暴力団新法に加え、広域暴力団に対して厳しい態度で臨む警察の姿勢が今はある。そんな時期に、なぜこんなくだらないことにプロ野球選手が引っかかるのか。
1人のプロ野球投手が悪事を働いたといえばそうですが、影響はプロ野球界だけにとどまらない。
新国立競技場建設費用を賄うとされた「プロ野球toto」の導入も、これで見送り確実だそうです。
なんだかんだで、日本一のプロスポーツであることには変わらない。そんなプロ野球界を揺るがす平成の黒い霧事件。元特捜部長がプロ野球コミッショナーを務める以上、中途半端な決着では許されません。全容解明をきっちりしていただき、さらにプロ野球選手にも、改めて過去を振り返り、脇の甘いことをしない姿勢を再認識していただきたいものです。
2015/12/25