米大統領選候補者のポジショニング戦略

ウォーカー氏のインタビュー

アメリカ大統領選挙も、候補者指名に向け、いよいよ本格的なマーケティングがなされている。
今朝の日経朝刊には、現・ウィスコンシン州知事で共和党候補で、支持率3位につけるスコット・ウォーカー氏のインタビューがありました。

共和党有力候補ウォーカー氏 「反既成政治」の受け皿に トランプ氏支持層の切り崩し狙う :日本経済新聞(有料会員限定)

共和党候補には、あのドナルド・トランプ氏が支持率ではトップ。あれだけどぎついことを言ってもなお、支持が集まるということは、彼の発言にあることに不満を抱く者がそれだけ多いことを示す。アメリカ社会の現実といえるでしょう。

ウォーカー候補について、インタビューでは「トランプ氏支持層の切り崩し狙う」とありますが、実はかなり大胆なポジショニング戦略をとっております。

現状の候補者ポジショニング

大統領選候補者は、民主党5名、共和党は17名。政権奪還を目指す共和党の候補者が多くなるのは当然でしょうが、資金力も生半可なものでは立ちいかない大統領選に、これだけ出馬する人がいることは何とも羨ましい。さすがアメリカ。

2016年米大統領選、候補者の横顔 - WSJ

しかし、現実的に指名を受ける可能性がある人は限られている。民主党ではヒラリー・クリントンだろうし、共和党はジェブ・ブッシュでしょう。支持率トップのトランプ氏を含め、ウォーカー氏は現状のポジショニングを、こんな風にイメージしているのではないかと思います。

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共和党・民主党という軸と、穏健か攻撃的かという2つの軸。ウォーカー氏はこのままではジェブ・ブッシュ氏に飲み込まれてしまうのは明らか。

過去のものというレッテル貼り

そこでウォーカー氏は、こんな発言をした。

「米国人は歴史的に過去の人より未来の人に投票するのが好きだ」。ウォーカー氏は会見で大統領選の有権者の投票行動についてこう分析した。その上で「私が共和党候補になる最大の強みは、クリントン氏らと比べ未来を感じさせる候補ということだ」と訴えた。
ブッシュ氏に関しても「友人だが、彼の名前は過去のものだ。ブッシュ氏対クリントン氏は、共和党員にとって厳しい戦いになるが、私とクリントン氏の対決は世代間の違いを示すことができる」と指摘した。
(「共和党有力候補ウォーカー氏 「反既成政治」の受け皿に トランプ氏支持層の切り崩し狙う :日本経済新聞」より)

父ブッシュ、兄ブッシュ、そしてクリントン夫。両家は通算20年間もアメリカ大統領の地位を占めてきた。いくら実績があるとはいえ、「またブッシュですか? またクリントンですか?」ということにウンザリしている米国民も少なくないのでしょう。だからトランプ氏の攻撃的発言がウケる。

このままではウォーカー氏は確実に負ける。だから「友人だが」と断った上で、ブッシュをヒラリー・クリントンとまとめて過去のものと表現した。
彼の描いた新しいポジショニングは、このようになる。

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政党の違いは、実は優先順位が低い。まずはブッシュ・クリントン両家に古臭いレッテルを貼る。そうすることにより、経験は未熟でも、未来に期待したい層から支持を得ることができる。これはまさに選挙におけるポジショニング戦略です。

そしてウォーカー氏のうまいところは、直接攻撃はしないものの、「未来」という言葉を使うことで、69歳のトランプ氏を「自分よりも古臭いイメージ」に追いやったこと。

トランプ氏の挑発的発言に応じたら、同じ土俵に乗ってしまう。だからそれは避けねばならない。また、トランプ氏の資金は豊富で、アメリカの悩ましい現状を変えてくれるかもしれない。でも年齢を考えたら、未来を託すことが可能なのは自分だ。
「未来←→過去」という軸を持ち出すことで、クリントン・ブッシュ両家とともに、高年齢のトランプ氏も間接的にポジショニングをずらしてしまう、誠にうまい戦略といえます。

まだまだ続く大統領選。次は誰がどんな手を打ってくるのか。候補者のポジショニングについて、追いかけて行きたいと思います。

 

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      2015/12/25

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