ソユーズという最高額ロングセラー
油井亀美也さん宇宙へ
日本人でも10人目となると、今さら驚きはない。「中年の星」という表現にも、いささか飽きた。
油井亀美也さんのご家族と、周辺関係者以外は、正直なところ、
あぁ、飛んだの……
というくらいの感想しか得られないのでは?
ロケットに乗り、宇宙に飛び立つことは、それくらい普通のことになりました。
6時間弱で宇宙ステーションへ
もっとも今回は、別の意味で改めて感心しました。
午前6時2分に打ち上げられたソユーズは、予定どおりであれば、午前11時46分に宇宙ステーションに到着する。
早い!? 早すぎる!
というのが偽らざる気持ちです。
ヘタすると、自分が自宅から浜松に行くのより早かったりして……。
偉大なるロングセラーソユーズ
ソユーズのことを書いたのは1年半ほど前。
ロシアが生んだ2つの世界的ロングセラー | とみざわのマーケティング研究室(2013.12.26)
AK47を生んだカラシニコフ氏が死去したことと合わせて書きました。
そう、ソユーズはロシアが生んだ偉大なるロングセラー商品。アメリカのスペースシャトルは、すでに退役した。今、世界が宇宙に向かうには、ロシアに頭を下げるしかない。
1年半前に書いた折、とある日経記事にソユーズの素晴らしい点が列挙されておりました。それを再掲いたします。
- 1967年の初飛行から45年以上たち、変わらぬ外観で古くさいイメージもあるが、着実に進歩してきた。
- 「抜群の安定感を魅せつけられた」(JAXA長谷川理事)
- 打ち上げ時は「いつ地面を離れたのか分からないほどスムーズ」(ソユーズに乗った宇宙飛行士古川聡さん)
- 液体燃料を使って飛ぶため、静かで揺れも少ない(固体燃料を使うスペースシャトルは「砂利道を全速力で走っているダンプカー」に例えられる)。
- 2013年からはたった6時間でISSに到着できるようになった(以前は2日間かかった)。
- 到着時間の短縮により、より多くの荷物を詰めるようになった(食料などが減らせる)。
- 数年前までは身長制限があったが、今は緩和された。
デザインを今さらいじって、他の要素に影響を与えることはしない。安易なデザインチェンジが、どれだけ愚かなことか。ソユーズは証明してくれている。
しかもどんどん効率がよくなっている。燃費もそうだし、運搬面でもそう。
ソユーズには、ロングセラーの要点のほとんどがあるといっても過言ではありません。
問題があるとすれば、「独占市場」のため、民間人が宇宙へ向かうには、約3500万ドル必要ということくらいか。
もっともこの金額だって、本気で宇宙に行きたいお金持ちには、なんてことのない金額かも。
ソユーズというロケットが、
普通に飛び立ち、普通に宇宙ステーションに到着することの偉大さ
宇宙開発も、マーケティングの勉強に十分なるのであります。
2016/07/07