目利きができなくなった媒介者たち

2015年上半期ヒット商品

日経トレンディ7月号は、今年上半期のヒット商品の振り返り。

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単純なランキングは隅に追いやられ、ジャンル別に細かく分析するスタイルに変更。というのも、今年はまだめぼしいヒット商品はなかったからか。だって、第1位が「北陸新幹線」で、以下「コンビニドーナツ」「アップルウォッチ」の順。いずれも事前に話題となっていたものばかり。予想の範疇を超えるヒットは生まれなかったというのが、今年上半期ヒット商品の結論です。

棚確保の戦略商品

ヒット商品は少なかったけれど、ヒット商品になりそこねた話題商品は豊富だった。その最右翼はサントリー・レモンジーナか。

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日経トレンディでは、「品薄商法」と糾弾されたサントリーを擁護する文章を載せております。

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「冤罪」と称しておりますが、必ずしもそうとは言いがたい。それはこの部分。「レモンジーナ」発売時のサントリー側の思惑。

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世の中に出回る商品のすべてが、担当者の熱い思い入れによるものばかりではない。特にコンビニに置かれるNBの多くは、ライバル社のヒット商品に負けじと出したものばかり。それが行き過ぎると訴訟にもつながる。

サントリーとアサヒ、訴訟前の熾烈な"抗争" | 企業戦略 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

ライバル社との戦いは、製品力の戦いである前に、棚確保の戦いとなる。それが最前線。

サントリーは「レモンジーナ」を小売店に割り当てる時、「オランジーナ」を棚から外させないことを条件として出した。つまり、オランジーナの代替品としてのレモンジーナではなく、オランジーナとレモンジーナを棚で併存させる。フルーツ系炭酸飲料で店頭をにぎわすブランドはさほど多くない。必然的に他社品の割り当てを削るということになる。

消費者不在で盛り上がる

「レモンジーナ事件」は、サントリーのそうした思惑に加え、「サントリーがそこまで力を入れるなら相当売れるのだろう」という小売店側の思惑が相乗効果となり、通常より多くの発注がかかった。多い店では、5倍もの発注をかけたところがあると、日経トレンディに書いてあります。

しかし、消費者は冷酷だった。

日経トレンディは、

土の香り
カブトムシ

という味覚評価が群集心理を働かせ、店頭から消えたとしているけれど、それは間違い。

土やカブトムシと表現される飲み物は、普通の人間は手を出さない。買い控える行動に出る。
なのに「品薄のため販売休止にする」との方針が打ち出された。では、「店頭に山積みされているこれは一体何?」という話になる。

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レモンジーナに関して、消費者はSNSで話題にしたけれど、それは味覚表現を面白がっただけで、実際にトライアルまでした人は一部のはず。
そう考えると、今回の事件は、小売店側が勝手に盛り上がったがゆえなのではないのか。

祭の場としての媒介者

メーカーと消費者を結ぶ媒介者としての小売店。それはテレビ出演者と視聴者を結ぶテレビの立場に似ている。

テレビは久しく視聴者不在といわれている。どこの局に変えても似たり寄ったりのタレントが、似たり寄ったりのことをしている。おもしろくもないことを、「おもしろいですね!」といい、取るに足らないことを、「すごい!」と表現する。

媒介者が勝手に盛り上がるほど、消費者にはノイズと映り、むしろ冷静に判断する。つまらないものには手を出さない。

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メーカーと消費者(ユーザー)が直接接点を持つことも簡単になった今、媒介者には、「祭の場」としての機能しか残らない。祭は必然的に楽しく賑やかなところでないといけない。過剰発注をした小売店の気持ちも、わからないでもない。

しかし、通常の祭では消費者が満足しないとなれば、祭はますます過激になる。とはいえ、過激さの裏側も、すぐに流布されるのだから、過激なことにも限界はすぐ訪れる。

本来、現場に最も近いところにいるはずの媒介者が、消費者ニーズを見極められていない。
サントリーレモンジーナ事件は、メーカーと消費者をつなぐ小売店に、もはや目利きとしての機能がなくなっていることを、はからずも証明してしまったのかもしれません。

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