ホモの吉呑みに勝算はあるのか
吉野家の吉呑み展開加速
都内の一部店舗で始めていた吉野家の「吉呑み」。五反田店に行ったのは昨夏のことでした。
つまみはかなりイケる。特に牛すじは美味しかった。
その「吉呑み」のテストマーケティングは終了したのか。いよいよ展開を加速するようです。
吉野家、居酒屋メニューの提供店拡大 6月末までに360店に :日本経済新聞
これまで約90店でしたが、一気に4倍に。本気です。
イタリアンのサイゼ、中華の日高屋
「ちょい呑み」の定義は特にないと思いますが、「居酒屋以外で飲める飲食店」と定義いたしますと、市場を開拓したのは間違いなくサイゼリヤ。
500ml290円という最強アルコールを中心に、どんなに食べて飲んでも1000円ちょい。まさにちょい呑み。素晴らしいです、ありがたいです。
サイゼに続いたのが日高屋。
「三品盛り」もいいのですが、日高屋でのちょい呑みを加速させたのは、間違いなく「3個餃子」でしょう。餃子6個の壁は1人呑みには厳しい。それが3個。しかも110円。当然注文します。
中生に三品盛り、3個餃子で720円。これに中華そばをプラスしても1110円。安い!
吉呑みの課題
イタリアンと中華で「呑む市場」はもはや小さい。でも「和風」は純居酒屋業態が苦しむ今チャンスといえる。そう考えると「吉呑み」は最強とも考えられる。
しかし課題は案外大きい。
吉呑みも安いことは安い。でも調子にのってしまうと、1500円、2000円とちょい呑みのレベルを超えてしまう。
その理由は「呑み」を前面に押し出していること。
牛丼メインのフロアと分けているから、そこは完全に居酒屋。だから心置きなく飲んでしまう。
サイゼも日高屋も、食事をしている方がメイン。そこには、小さな子供が大きな声で騒いでいるし、老夫婦がまったりしていることもある。
サイゼリヤが特に強いのは、これらに加え、高校生が部活帰りに押しかけるし、試験期間には学生たちが勉強を始める。異質な階層が同居するヘテロの世界。
吉呑みにそれはない。あくまでもオヤジの空間。同質の人間ばかりがいるという意味で、ホモの世界。
お店としては売上が拡大できればいいのだから、それでよいかもしれない。ただ、それでは居酒屋が通った轍を踏んでいるだけという見方もできる。
サイゼリヤ、日高屋、そして吉野家の吉呑み。いずれも居酒屋市場のパイを奪おうとしている。ただ、吉呑みがやろうとしていることは、サイゼ、日高屋と性質が違う。もし吉呑みが勝利するなら、それは居酒屋が壊滅的打撃を受けることになるだろうし、敗北するとなれば、ヘテロの客層を獲得できなかったということ。
はたして結果はどちらに?