キリン淡麗の絶対負けられない戦い
金と銀を追加
キリンの淡麗のパッケージが変わりました。
店頭で初めて見かけた時は、「新たなラインナップか?」と思ったのですが、どうやらそうではない。
「淡麗 極上<生>」リニューアル発売|2015年|ニュースリリース|キリン
淡麗極上〈生〉|ビール・発泡酒・新ジャンル|商品情報|キリン
ブランド公式サイトで「フルリニューアル」と謳っているように、もちろんプロダクトも変えていて、大麦が40%増量されている。「淡麗史上最高の飲みごたえ」なのだそうですが、それ以上のマーケティング的にも大胆な変更です。
淡麗の売上
淡麗ブランドの昨年1~12月の売上は、3963万ケース(大ビン換算)と4000万ケースに届かなかった。
特に「淡麗」そのものは、前年比マイナス10%。「グリーンラベル」もマイナス3%で、プリン体・糖質ゼロの「淡麗プラチナダブル」がなければ、かなり危険な状況だった。
だからこそのフルモデルチェンジなのでしょう。
キリンの麒麟はずし
実はパッケージというか、ネーミングも変わっている。
淡麗のパッケージには、これまで「麒麟」という文字が大書されていた。それをはずした。
淡麗の歴史|淡麗極上〈生〉|ビール・発泡酒・新ジャンル|キリン
グリーンラベルとプラチナダブルは、当初から「淡麗」を大きくあしらってきたので、そちらに合わせたということ。戦略的には理解できる。
ただ、メインブランドがサブブランドに合わせるということは、かなり異例なこと。
アサヒビールが、大半のブランドをスーパードライに近いパッケージデザインに寄せておりますが、メガブランドのイメージを展開するのは当然の戦略。
つまり、メインの淡麗はあえて「麒麟」を前面に押し出してきたのに、サブブランドは「淡麗」と名乗っている。淡麗ブランドのイメージが拡散してしまっていたのでしょう。それを是正した。
さらに、今まで真っ白だったカラーに、金・銀を加えたことは、ノンアルコールビールとの混同を避けたうえで、スーパードライへの挑戦とも受け取れる。ラガーは当然のこと、一番搾りも厳しい状況にあるキリンとしては、近々改正されるという噂の酒税法対策なのかもしれません。
要するに、ビール、発泡酒、新ジャンルという壁が取っ払われた時に、ブランドを集約する必要がある。その時に残すブランドは、一番搾りではなく淡麗なのではないかと……。
商品パッケージやネーミングの変更は珍しいものではありませんが、ここまでのメガブランドの大変更はなかなかない。キリンにとっては、先々を見越した大胆なモデルチェンジ。「絶対に負けられない戦い」が、ここにもあります。
【追記】力強い飲みごたえ?
パッケージには、こんなことも書いてある。
淡麗史上最も力強い飲みごたえになった
“極上”の生をぜひ。
飲んでみると、たしかに力強い気はする。
コクとキレが進化したことはいいとして、「淡い」「麗らか」な製品に、「力強さ」という言葉がマッチするのかどうか。そこが若干疑問に感じました。
実際にはほとんどの人は、こんなところまで読み込まないからいいでしょうけど、それが「舌」で気づいてしまったら、最悪のリニューアルということになります。大丈夫なのでしょうか……。