地域ブランドの時代に
今朝の日経
朝刊にこんな記事がありました。
セブン&アイ、地域限定商品を5割に 効率追求型から転換 :日本経済新聞(有料会員限定)
年が明けて、「2015年大予測!」みたいなことを書こうかと思っており、タイミングを見計らっておりました。
年末からツラツラと構想を練っていたのですが、その柱の1つが、まさにこの「地域ブランド」。だから、今朝寝床で日経を(アプリで)読んでいて、「ガーン!」となりました。
リージョナルブランド
このブログでも、かねて地域ブランド(リージョナルブランド)のことを取り上げてまいりました。
NB、PB、そしてRB | とみざわのマーケティング研究室(2012/07/13)
農業こそ高いレベルのマーケティングを | とみざわのマーケティング研究室(2013/12/18)
セブンイレブンによるストアブランド(プライベートブランド)の高付加価値化は一巡した感がある。その突破口としての地域ブランド(Regional Brand)。
過疎化や産業振興の打開策に悩む地域にとって、大チャンスの時代。これまで敵と考えていたCVSやSMが、一転して救世主となる。ただしそのためには、「誰にも認められるいいもの」であることは不可欠の要素。真摯なモノづくりをしてきた努力こそが報われます。
馬路村ポン酢
上の2つの文章に先立ち、自分が地域ブランドのことを書いたのは2009年が最初。今は検索できないところに置いているので、少し長いのですが、そのまま取り上げます。
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「うっ!マジ?」(2009.2.25)
「ゆず畑」というブランド名(ラベル)は卸専用。他に小売専用に「ゆずの村」の別ラベルもあるそうです。なかなかやります。
この「ゆずの村(ゆず畑)」は、サイトにあるように、高知県馬路村の地域産品として、昭和61年に発売したもの。今から23年前ですから相当昔。自分がこのぽん酢しょうゆがあることを知ったのは義兄から。
まだ子供が小さい頃、長野の山奥に住む義兄一家を訪ねるのが夏の恒例行事でした。その義兄は村の観光課の担当となっており、村おこしの研究として、はるばる高知まで行ったそうです。馬路村より人口の少ない村ですから必死です。
その時、「こりゃウマいよ」ということで、買ってきたのを、食卓でサラダか何かに使っておりました。使ってみると、たしかにゆずがキュッときいていて、NB品よりも風味がある。でも、当時は通販でしか買えませんでした。
買いたいけれど、「そこまではしないな……」というのが正直な気持ち。ミツカン味ぽん、ゆずぽん、昆布ぽんで十分でした。
あれはたしか、5~6年前のことでしょうか。
それが最近は、自宅近所の東急ストアにも売っているし、渋谷のライフにも売っている。だいぶ拡販がなされてきました。流通の仕入担当者も、NBばかり棚に並べてもダメということに、ようやく気づいてくれたのか。
NBにPBは当然。そこにこういう地域ブランドを並べる。
地域ブランドは何と表現したらよいのか? 「Area Brand」でABか? それとも、「Regional Brand」でRBか。RBの方がしっくりきますね。
いずれにしろ、POSのままに並べていればよいという思想は薄れ、NB、PB、RBをバランスよく陳列しないと、消費者はすぐに飽きる。
棚の鮮度を保つには、キカイに任せていてはダメ。やはり人の知恵が必要。これからますますRB品が、大都市圏でももてはやされることになりそうです。
一方、馬路村としては、生産が追いついているのか、ちょっと不安。もっとも、「日々馬路村」という農協のブログを見るだに、まだそんなことはなさそう。人気が出ると、ワッと群がって、サーッと消えていくのが世の常。そんなブームに流されず、ゆっくりと盛り上がっていただきたいものです。
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翻弄されないために
ストアブランド、プライベートブランドの時代は、ちょっと一段落。これからはリージョナルブランドの時代。そこで伸びるのはどの地域か。
政府も首都への一極集中を是正する流れがある。この勢いに乗らない手はない。
ただ、大手流通から引き合いがあったからといって、舞い上がってはいけない。一時的に注目を浴びても、販売状況が悪ければ、すぐに死に筋と判断されることはNBと同じ。
「いいものを作っていれば売れる」という時代ではない。今は、
いいものを、いかに賢く売るかという時代
です。
だから人手の少ない企業・自治体であっても、マーケティングの基本は抑えておかなければいけない。そうでないと、単なるブームに終わってしまいます。
一方、大手流通も、名も無き地域ブランドを単に買い漁るだけで、売れなくなったら、すぐにポイとするのではいけない。
時間をかけ、しっかり育てていく覚悟
を持っていただきたいもの。それが結局はストアブランドの強さにもつながってくるのですから。