本当に満足してもらえた講義

90分×15回を盛り上げ続けることは可能か?

いきなり長い小見出しですが、前のエントリーからの続きです。続きというか余談かも。

講義を担当する身として、

90分×15回の授業時間のすべてを、興味を引きつけ続けられる教員がいるのであれば、ぜひ見学してみたいもの。サンデル先生だって、15回のうちには、中だるみがあるはず。
私語の多い大学授業という問題 | とみざわのマーケティング研究室

なんてエラそうなことを書きましたが、これは多くの教員に共感いただけることではないかと思います。

ただ自分の体験として、ある授業で「あ、この授業はすごく充実してた」と思ったコマがありました。

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盛り上がったという証明は何?

我々は、以前は半期に1度、最近は年に1度、「授業評価」というもの受けます。学生にそれぞれの受講科目を評価させる。もちろん反発する教員は未だ多い。それは、CSを理解しない時代錯誤的というより、「授業もろくすっぽ聞かない学生に評価されたくない」というもの。それはある面では事実でしょう。ただ、態度は悪かろうが顧客は顧客。面倒な顧客だけ除外した調査は、通常考えられません。

ただ、これはアンケート調査を長年やってきたからわかるのですが、回答者は直前の雰囲気に左右される。15回を通じての評価を回答してもらうべきところを、実際には13回目から14回目あたりに実施するので、その回が興味を引く内容であれば、高評価をつけてしまう(もちろん反対もありうる)。
だから、授業評価の数値は鵜呑みにはできない。フリーコメントから推測するしかない。

では、自分が「あ、この授業はよかった(はず)」と思ったのはどういうことかというと、1つには

15回目の授業が終わった瞬間、
ものすごく名残惜しく感じた

からです。「もっとやりたいな」とマジメに思いましたから。

一体感が満足度を生む

その授業は、マーケティングの講義科目を、留学生だけ切り離して特別に設けてもらった科目でした。
留学生はもちろん中国人。日中の差はほとんどなくなりましたが、細かいところはやはりいろいろ違う。例えば、「価格」1つとってみても、中国が自由価格になったのはここ20年。それまではほとんどの商品が国が決めていたようです。

それ以外でも、ちょっとした商品でも、日本人は当たり前に知っていても、中国人はチンプンカンプンなんてことは当然にある。文具類とか。

だから留学生だけ分けてもらった。その最初の年でした。

学生(=留学生)の反応もよく、日本人と混合では質問しても答えなかったのに、同じ国の人間ばかりである気安さからか、こちらの問にビビッドに反応してくれてました。
だから授業をやっていて、本当に楽しかった。混合クラスだったら、「タイガー・ウッズ」や「石川遼」を取り上げるところを、「姚明」「劉翔」にしたり。知らんでしょ大半の日本人は、「姚明」も「劉翔」も。中国人は全員知っています。


 

満足してもらえたんだなという事実

その15回の授業について、自己満足していただけではありません。15回目の授業が終わり、後片付けをしている時にそれは起きました。

大学で授業を教えるようになって10年ちょっと。半期ずつで講義系科目は通算30~40コマくらい持ったはず。でもそんなことが起きたのは、唯一そのコマだけでした。なにが起きたのかというと、こういうことです。

黒板まわりを整理し、パソコンの電源を切り、カバンにしまおうとしていると、女子学生が3人くらい残っている。何やらこっちを見てモジモジしている。「どうした?」と尋ねると、

一緒に写真を撮ってください

と。

ゼミだったら卒業前に写真を撮るのは当たり前ですが、15回の講義後に、「写真をお願いします」といわれたのは唯一その時だけ。

自分も余韻にひたっていたのですが、その瞬間、

あ、やっぱり喜んでもらえたのかな

と思いました。

もっとも恥ずかしながら、それ以降はそんなことはないわけで、つまりまだまだ授業方法には改善の余地がある。
でも1回コッキリではない、15回続くロングランの講義で、一度でもそういう体験があったのは、到達すべき目標がボンヤリとながらも見えているということ。

覚悟のスイッチ

そしてその目標を達成するには、学生との一体感をいかに醸成するかにかかっている。一体感だから、教える側ばかりでなく、聴く側にも覚悟が必要。

もちろん一方的に「いいかげんに覚悟せよ」では通じない。「こいつの話をマジメに聴こう」と思わせる「覚悟のスイッチ」。そのスイッチをいかに入れるか。教員のテクニックとは、もしかしたらそれに尽きるのかもしれません。

前回紹介した「インドの学生たち」は、その覚悟ができている。だからこの熱気が生まれる。

知識など詰め込まずとも生活に困ることはない平和な日本で、インドの学生と同じ覚悟をもたせられるのか。
いやはや難儀ですな。

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