過疎の村の逆転劇

人を集める

今年何度か、高校生向けの体験授業(模擬授業)をやりましたが、そのうちの何回かは、「人を集める」ということをテーマにやりました。

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人が来なければ、商売にならない。ディズニーランド、USJ、東京スカイツリー。人が来て当たり前の観光施設をはるかに上回る、

年間54億人を集める施設とは?

ということで生徒を驚かせつつ、本題は別のところにあった。

今年、おそらく体験授業をやることはもうない。つまり同じネタを使いまわすことはもうない。なので、ここにそのネタを詳らかにいたします。

 

ディズニーよりも田舎の村

ディズニーランドのマーケティング手法を今さら滔々と語っても、高校生ならビックリするかもしれませんが、自分は全然面白くない。だいたい、8月末に行った、豊橋でのラーニングフェスタでは、他の演者とタイトルがモロかぶりだったし。ディズニーは耳目を集めやすいネタではありますが、現状はむしろ禁断のネタです。

だから自分は、その「54億人を集める施設」を絡ませつつ、田舎の村が行っているマーケティング手法を取り入れてきました。

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あくせくしない土地、イイネ!

年間3000万人の入場者を誇る東京ディズニーリゾートに比べると、あまりにせせこましいのですが、そこにはリアリティがあります。

 

青森県田舎館村

今年の、カンヌで金賞を受賞した「青森県田舎館村」。ここで行われている田んぼアートのことは、学生向けの授業でも取り上げました。これは最先端のプロモーション手法として面白い。

田んぼアートそのものは、決して真新しいものではない。たしか、阪神タイガースの虎マークを描いた田んぼアートが元祖に近いのではないかと。
ただそこにQRコードというか、バーコードというか、まあ実際には「Rice Code」と称しておりますが、超最先端のIT技術を取り入れているところがポイント。
今年のカンヌライオンズの特徴は、アナログとデジタルの高いレベルでの融合だったとか。これが現在の最新プロモーション。

 

徳島県上勝町

青森県田舎館村のやったことは、あくまでも異例。あんなにハマるプロモーションは、めったにあることではない。

過疎の村の逆転劇としては、あまりにも有名な徳島県上勝町。正式には「株式会社いろどり」。
「葉っぱビジネス」で、棚田くらいしかなかった町を盛り上げてきた実績は、何年も前から取り上げられていますから、今さら説明するまでもないでしょう。

注目は、その進化ぶり。

4年前のテレ東系番組で取り上げられた時、番組内で「社員」であるおばあちゃんたちへの連絡は、防災無線FAXだった。

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テレ東番組より

それが、番組最後にパソコンを導入したという話で締めくくっていた。

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テレ東番組より

マウスではなく、超大型のトラックボールを操作するおばあちゃんが、とても印象的でした。

そのおばあちゃんが、今もパソコンに向かっていると思ったら大間違い。今はこうなってます。

「年寄りだからパソコンやスマホはできない」なんてのは幻想。というか思い込みにすぎない。意欲さえあれば、誰だってあっという間に覚えるという典型的な事例。パソコンもタブレットも使いこなしていない若者は、少しは焦った方がイイネ。

 

長野県下伊那郡売木村

田舎館村も、上勝町も、高校生には斬新な事例だろうけど、その筋の方々には超有名。ディズニーに近いものがある。だからオトナに話しても、たいした感動は得られない。

だから、自分の今年のテーマは、

走る村

の意味を伝えることにありました。

走る村」を掲げている長野県下伊那郡売木村。義兄が住んでいる関係で、何度か行ったことがあります。

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平谷峠より売木村を望む

上の写真は、峠から見た村。こういうところです。
カミさんと結婚する直前、ご挨拶がてら行った時、人口はたしか1200人でした。今は600人。半減です。

 

走る村

ホントに何にもない。アニキの住まいの裏から見た風景はこんな感じ。

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聞こえるのは川のせせらぎと蛙の鳴き声のみ

「ふるさと創生資金」で温泉を掘り当て、ちょっとしたクアハウスが集客してくれるけれど、温泉なんてライバルが多すぎる。

だから「走る村」。重見さんというマラソンランナーを村で雇入れ、各地の大会に、村のシャツを着て走ってもらう。それだけなら単なる宣伝マンですが、売木村で合宿をしてもらえば、重見さんから走法などを教えてもらえるということがミソ。

そして標高800mという「微妙な高地」が、さほど真剣でない、でもちょっとマジにやりたい市民ランナーには、

絶好の高地トレーニングの場所

となっている。駅伝で有名な強豪高校にも来ていただいたようです。

NHKの番組にも取り上げられ、1年間密着してもらいました。

応援ドキュメント 明日はどっちだ #56 - NHK

売木村のポイントは、標高の絶妙な高さだけでない。過疎の村ならではの交通量の少なさは、走る人々には、むしろ安全で快適に走れる空間となる。
また、以前から村にあった、なんてことのない保養施設も、走ることが目的のランナーには十分すぎるほどの宿泊施設となった。過大な投資など必要なかったのです。

 

温泉、ゆるキャラ、自然体験

「あなたが人口600人の村のマーケティング担当者だったら、どうやって人を集めますか?」と高校生に問いかけてきました。高校生の答えは、もちろん当たり前すぎるもの(マジな答えをされるとこちらも困る)。

売木村には温泉はあるし、「うるのすけ」というゆるキャラもいる。あろうことか、「うるのすけマーチ」という歌まで作っている。

自然は有り余るほどある。

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砂防ダム、いいですね

でも、こんなのはどこの自治体でも当たり前のこと。

2040年までに消えると脅された自治体は、自然が有り余っているからこそ、消滅の危機に脅かされている。だからこそ逆転の発想が必要。

徳島県上勝町は、住民にとっては当たり前すぎる「葉っぱ」を売る先を考えついたことで活性化を果たした。
長野県売木村は、「絶妙な高地」に加え、そもそも交通量がほとんどないということを逆手に取った。

何億円という投資をして儲けるのは、ある意味では当たり前のこと。新たな投資は最小限に抑え、今ある資源を最大限に活かすことこそ、本来のマーケティングの役割。

自分も広報関係の仕事が一段落するこの秋以降、いろいろ盛り上げてまいります。お楽しみに。

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      2016/07/18

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