すき家、ワタミに再び人は集まるのか?
1週間ほど前に書いた「すき家」のこと。
新店効果よりも、既存店で一時閉店ことによる売上減の方が大きかったという事実。外食産業としてありえない状況ですが、マスコミはそういうややこしいことは、なかなか取り上げない。
ただ、事態は収束に向かうどころか、ジワジワ悪化しているようにも見えます。
昨夕参加した研究会に向かう道すがら、すき家があったのですが、遠目に見て、どうやら開いているようだった。
おー!ここはやってるか!
と思いきや、近づいてみると、そう甘くはなかった。
人手不足により、持ち帰り弁当のみの営業。これでは外食ではない。中食です。
今回の「パワーアップ閉店」についてのオフィシャルな発表は、下記のとおり。
2月から4月までの間で、4月12日時点の123店舗を最大として店舗が一時閉店していた。この123店に加えて、124店が深夜・早朝営業を休止していた。
すき家の店舗数は、2014年4月末現在で1985店。1割以上の店舗が、一時的にであるにせよ、営業できないという異常事態。
さらに一時閉店した店舗の再開ができない。
上記の123店以外に、44店閉店している店があり、合計167店は4月下旬までに順次再開していく予定だったけれど、それが一向に進まない。
それでも少しずつ再開はしているようで、すき家公式サイトによると、リニューアルオープンは以下のように動きつつある。
4月23日:2店
4月24日:1店
5月13日:5店
5月14日:4店
5月15日:3店
5月16日:1店(予定)
5月20日:6店(予定)
5月21日:3店(予定)
再開店15店、再開予定店10店
再開予定まで含めても25店。まだあと140店が残っている。
その一方、上記画像の店は「閉店」の対象ではない。緊急の止血をしながらも、出血はまだ止まっていない。
自分もかつてすき家で「レンジでチンしたごはん」を出されたことがあります。朝8時くらいの時間帯でしたが、お客さんが自分以外に5~6名いた。店員さんは1名。いわゆる「ワンオペ」。テーブルには食べ終わった食器類が放置。ごはんを炊く余裕もなかったようでした。
現在の状況が、単に外食産業の人手不足によるものだけでないことは明らか。社長の「3K発言」は記者の曲解だったようですが、現実的にすき家という職場が、ギリギリの仕事をアルバイトに強いてきたことは否定できません。
一方「和民」は、居酒屋業態を60店閉鎖した。
「ブラック企業とも呼ばれていますが」との記者の問いかけに、社長は、
大声で『ブラックじゃない』と叫びたい。
と応じておりますが、新卒3年目の離職率は46%。同期が半分いなくなってしまう。やはりブラックでしょう。
店舗の正社員率を高めることで、人手不足の苦境を乗り切りたいようですが、その正社員が集まらないのだから、今いる従業員はさらに苦しくなるはず。相当数の店名を変えるという荒療治もするそうですが、はたしてどこまで改善するか。
時給をはじめとした待遇を改善したとしても、ハードすぎるイメージがついたすき家、ワタミに人材は集まるのか。急拡大はいいとしても、それが従業員の不幸の上に成り立ったものであったのなら、今回の事態は当然の結果。
同じ多数の店舗を抱える外食チェーンでも、サイゼリヤは従業員を大切にしている。
仕事は何のためにするのか。人の役に立つため、社会貢献です。これは小さい頃からお袋に叩き込まれました。何かを決断するときには、まず従業員、次にお客さん、そして社会の役に立つかどうかを考えて決めます。
決断のとき・サイゼリヤ社長 正垣泰彦 編 - 特集 - 日経レストラン ONLINE
ゼンショー小川氏、ワタミ渡邊氏から、こういう言葉が聞ける日は来るのか。そしてすき家やワタミに明日はあるのでしょうか。