ロシアが生んだ2つの世界的ロングセラー

カラシニコフ

AKB48というグループが登場しはじめた頃、「そんな不謹慎な名前をつけてよいのか?」と訝しがったもの。その理由は、AK47という銃の名に似ているから。

そのAK47を発明したミハイル・カラシニコフが亡くなりました。亡くなったのは、少し前ですが、クリスマスに人殺しの道具について書くのは、さすがに憚られたため、今日まで待っておりました。

M・カラシニコフ氏死去、自動小銃AK47を設計 | Reuters
特許なき発明。AK-47の父カラシニコフ逝く : ギズモード・ジャパン

カラシニコフ氏のAK47は、発明以来60年以上、改良をほどこされ、今も戦地で使われている。おそらく今この瞬間も……。
たった1発で10数万余の人命を奪ったリトルボーイやファットマンとはまた異なる意味で、人類最悪の発明品であり、間違いなく、

世界最悪のロングセラー商品

です。

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AK47は上のようなスタイルの銃。何が優れていたかというと、以下のような点です。

どんなに乱暴に扱われても壊れない。
グリスが切れようが水に浸かろうがまだ撃てる。
Wikipediaより

要するに、

  • 戦場でどれだけ荒く使っても壊れない
  • メンテナンスもしやすい
  • 構造がシンプルであるため量産に向いている

ということ。
人殺しの道具ではありますが、ロングセラーであるためのポイントは確実におさえているところが恐ろしい。

戦場で使われる銃なんて、適当にバンバン打っていれば、敵を殺せるんだろうなどと考えるのはシロウト。実は、そのメンテナンスこそが命なのであります。

それがいかに大切なものであるのか、「ゴルゴ13」の第423話「激突!AK-100vsM-16」で、詳細に描かれております(AK-100はAK47の改良版)。

ゴルゴ13の使う銃は、アメリカ軍制式銃のM-16。
ただこの銃は、メンテナンスがかなり面倒。なぜゴルゴがそんなものを使っているのかというと、それは連載当初、さいとうたかを先生らがそこまで深く考えずにM-16を採用したというのが真相のようですが、この第423話では、「メンテナンスが面倒なM-16」対「誰もが簡単に使えるAK-100」と対立させ、ゴルゴがM-16を使い続ける理由を説明した。

そして、消滅しようとしている世界第4の湖アラル海でロシア軍を相手に、ギリギリのところでゴルゴは、まさかと思われる方法で銃のクリーニングをほどこし、勝利しています。
その戦いを見届けたカラジニフ氏(≒カラシニコフ氏)は、「なんで、おまえはM-16を使い続けるのだ?(どうして使いやすい俺の開発したAK-100を使わないのだ?)」と問いかけた後に、サクッとゴルゴに殺されます。ゴルゴがなんと答えたかは、作品をお読みください。

劇画はこれでいいのですが、戦場ではそうはいかない。使いやすい方が好まれるに決まっている。だって、メンテしているうちに自分が狙われたら、元も子もない。
誰もが使えるからこそ、発明から60年以上たった今も、世界各地で改良版が使われている。AK47が使い続けられる理由のすべてを、「実戦」が証明しております。

ソユーズ

AK47こそ、ソ連(ロシア)が生み出した世界最悪のロングセラーなのですが、その一方で、ロシアは実は世界最高と考えられるロングセラーも有しております。
それは、

宇宙船ソユーズ

です。

アメリカと、覇権を賭けて競ってきた宇宙開発競争は、すでにロシアの勝利で確定している。なにしろ、世界の警察アメリカは、自前で宇宙に人を送り込むことはできない。この前の若田さんも、ソユーズに乗って、国際宇宙ステーションに向かった。そして、実はゴルゴ13も、アメリカからの依頼なのに、宇宙に行く際にロシアから飛び立っている(第436話「一射一生」)。

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ソユーズの形状は、いかにも「ロケット」というデザイン。しかしこれまた改良に改良を重ね、アメリカが放棄したスペースシャトルより、よほど乗り心地はよいのだとか。
先日の日経における特集記事によると、ソユーズの素晴らしさは下記のようなものだそうです。

  • 1967年の初飛行から45年以上たち、変わらぬ外観で古くさいイメージもあるが、着実に進歩してきた。
  • 「抜群の安定感を魅せつけられた」(JAXA長谷川理事)
  • 打ち上げ時は「いつ地面を離れたのか分からないほどスムーズ」(ソユーズに乗った宇宙飛行士古川聡さん)
  • 液体燃料を使って飛ぶため、静かで揺れも少ない。
  • 固体燃料を使うスペースシャトルは「砂利道を全速力で走っているダンプカー」に例えられる。
  • 2013年からはたった6時間でISSに到着できるようになった(以前は2日間かかった)。
  • 到着時間の短縮により、より多くの荷物を詰めるようになった(食料などが減らせる)。
  • 数年前までは身長制限があったが、今は緩和された。

ソユーズの打ち上げロケットの外観は、前記のように「いかにもロケット」といった感じのもの。スペースシャトルに比べると、洗練されたところなどない。下手をすれば、子供でもデザインできそう。それでも次々と改良を重ね、使い続けられている。

世界最高額のロングセラー

ソユーズに乗って、民間人が宇宙に行くには約3500万ドルかかるそうです。AK47が世界最悪のロングセラーなら、ソユーズは、

世界最高額のロングセラー

といえるでしょう。

人を殺戮するための銃であろうが、人を宇宙に運ぶためのロケットだろうが、ロングセラーの要諦は変わらない。使いやすさ、快適さ、メンテナンスのしやすさ、廉価であること、改良しやすいこと……。いろいろ参考になります。

ただ、

マーケティングは平和があってこそ。

それだけは忘れないようにしたいものです。

 

 

 

 

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      2015/07/20

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