カスタマイズ研究所はじめます

なぜカスタマイズ型商品がよいか

商品はお客様のニーズに対応して生まれる。最新の技術をもとに生まれるシーズありきの商品もあるが、シーズもまた根底にはお客様のニーズがあると考えられる。ニーズのないところに商品は生まれない。
商品を世に出すからには、できるだけ長く売りたい。しかし、購入者1人1人のニーズに完璧にマッチした商品を生み出すことは、到底不可能である。
だからこそ、お客様に委ねる部分をあえて残す。それがロングセラーを生み出すための「カスタマイズの法則」である。

本エントリーでは、2008年秋に上梓した拙著「ロングセラーを生み出す カスタマイズの法則」(日本実業出版社刊)で紹介したカスタマイズの考え方に合う商品を取り上げていきたい。
まず、カスタマイズとはどのような概念なのか考えてみよう。

カスタマイズの概念

商品とニーズの関係をみると、下図のようになる。

13083110
商品コンセプトは、お客様のニーズと完璧に一致することはない。コンセプトとニーズは言ってみれば、凸と凹の関係。理想的には、凸凹がパチッとハマる関係でありたいが、そう単純ではない。図にあるように、お客様ニーズの出っ張った部分があると考えれば、ある人はこの部分が丸かったり、またある人は台形だったりすることもあろう。

企業はお客様のニーズを把握し、分析した上で、商品化するのが原則。ユーザーニーズをいくつかのパターンに分類する時点で、すでに最大公約数的なカタチになっており、そのパターンに合うユーザーしか満足することはない。

企業が製造し、販売するものを、そのまま使ってもらうのではなく、ユーザーが自分仕様に合うようにカスタマイズする余地を残しておく。これがカスタマイズ型商品の基本的な考え方である。
方法はいろいろある。最も基本的なのはカラーバリエーションを揃えることだろう。自動車から携帯・スマホまで、カラーバリエーションを持たない商品を探す方が難しいかもしれない。

カスタマイズ型商品の事例

13083116カスタマイズ型商品の代表格として、ハウス食品の「バーモントカレー」を取り上げたい。

1963年に発売され、今年発売50周年を迎えたバーモントカレー。辛い食べ物の象徴だったカレーを、子供でも食べられるように、味を甘めに設定したことにより大ヒット。
いや、そんな説明よりも、「リンゴとハチミツとろ~り溶けてる」というコピーの後に、

ヒデキ!カンゲキ!

と、頭の中で勝手に西城秀樹の声で再生してしまう人は多いはずである。もちろん自分もそうである。
そのくらい当たり前に家庭で食べた。食べたけれど、そのまま食べることは少なかった。

バーモントカレーの標準的な材料は、下記の通り。

肉、玉ねぎ、じゃがいも、にんじん

これだけである。これらの材料に、水と油、そしてルウがあれば完成する。
今これだけの材料でカレーを作る人がどれだけいるだろうか?

味をさらにまろやかにするために牛乳を入れる、味にメリハリをつけるためにソースを追加する、場合によっては醤油も入れる。チョコレートを入れる人だって、もはや珍しくもなんともない。
具材にいたっては、野菜はだいたい何を入れても何とかなる。豆を入れたって大丈夫。

つまり、バーモントカレーバーモントカレーそのままで食べる家庭は、ほとんどないということである。各家庭の味の好みに合わせることが可能な商品設計。これがポイントである。だからこそ50年に及ぶロングセラーとなりえた。

ノンカスタマイズ型商品の事例

世の中には、カスタマイズしなくてもロングセラーとなっている商品もたくさんある。拙著の中でも取り上げたのが、カップヌードル、マクドナルドのハンバーガーなどである。
日清食品の現社長安藤宏基氏は、チキンラーメンカップヌードルの誕生秘話を取り上げたテレビ番組で、このようなことを語っていた。

(創業者である安藤百福が)最初にいきなり完璧なものを作ってしまった。普通は、少しずつブラッシュアップして完璧にする。ところがチキンラーメンもカップヌードルも完璧だから、これ以上変えようがない。
(フジテレビ系奇跡体験!アンビリバボー:世界が絶賛した日本人 魔法の大発明より。2013年8月22日放送)

13083112チキンラーメンはテレビCMで、生玉子を乗せる「カスタマイズ」を提案しているから、カスタマイズの余地はわずかながらある。
しかしカップヌードルに何かを乗せようとしても、そもそも乗せることが難しい。カップヌードルを食べる人は、ほとんどの方はそのまま食べるだろう。カップヌードルは、我が国を代表する「ノンカスタマイズ商品」である。

ノンカスタマイズ商品でもロングセラーとなることは可能である。
しかし、このような商品は開発に相当の苦労を要するだけでなく、時代のタイミングともいうべきものに合致する必要がある。

13083114チキンラーメンは、まだ日本人がお店や屋台でしかラーメンを食べることができなかった1958年だから大ヒットした。カップヌードルは、チキンラーメンに触発された他社が相次いで袋麺を投入した1960年代を経た1971年だから大ヒットしたといえる。
ノンカスタマイズ型商品がロングセラー商品となるためには、時代のタイミングと合うことは、カスタマイズ型商品よりもより高いレベルで必要とされる。

1308311313083115

Google AdSense2

Google AdSense

      2015/09/21

 - カスタマイズ, 日記 , , ,